「郊外(バンリュー)団地の今」アスファルト odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
郊外(バンリュー)団地の今
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郊外の荒びれた公団住宅の住人たち、冴えない中年男は看護師の気を惹こうと必死、同じ階の隣人の老女優と快活な青年は世代ギャップを越えられるか、迷子の宇宙飛行士と健気に世話するアラブ系移民の老婦人の3つの偶然の出会いの物語を描いている。
劇中でピカソ団地と言っていたがタワーが無かったので別の団地でしょう、1960年代に移民用に多くの団地が作られたが1980年代以降、失業率が増加し非行化が進む移民2、3世の少年達によって犯罪が増加、団地はフランス社会から貧困で危険な地域だと見られるようになった。映画『憎しみ』(1995年)はそんな青年たちの暴動を描き社会問題にもなった。それに比べれば本作の団地は老朽化が進んだせいか穏やかに思える。
貧しく恵まれなくとも健気に生きる人たちのヒューマンコメディと言ったところなのだろうが、ルームサイクルの漕ぎ過ぎで入院とか、NASAの宇宙船のカプセルが屋上に不時着とか突飛すぎるでしょう、もっともフランス人はアメリカ人を虚仮にするのが大好きのようだから受けるプロットなのでしょう。いい年をして平気で嘘をつき、気を惹こうとする様は痛々しい。かっての栄光を忘れられない老女優というのもよくある話、いずれも取り立てて映画にするまでもないフィクション感が強く登場人物にも思い入れが出来かね、正直退屈な映画でした。
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