神のゆらぎのレビュー・感想・評価
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神への信仰心のゆらぎ
宗教とは、やはり信仰心のない人間からするとどこか不思議なものである。信者にとって教義が心の拠り所になるのだろう、ぐらいに考えていた。否定も肯定もしない感じ。ただ、この映画はわりと思い切って宗教という存在や、それに付随する神の存在を真っ向から否定していると思った。神がいるなら、白血病の青年も助かったし、飛行機だって落ちなかった。神の御言葉に従っていることだけが正しいのだろうか。教義は、生きていく上で衝突する様々な疑問を解決する鍵にはなりうるが、死後どうなるかは示してくれていても、実際に人命が危ぶまれたその瞬間には、何の救いにもなってくれない。ジュリーは人の命を救う仕事をしているのに、自らの信仰心ゆえ、輸血を拒否する。それってどーなのよ?彼女のジレンマがよく描かれていたと思う。映画の内容とは関係ないのだけど、フランス語の映画が見たくて本作をチョイスした。やっぱりフランス語の響きって美しいなぁと思いました。
ドラン主役じゃないです:信仰への問いかけ
グザヴィエドラン見たさで見ましたよ。
でもドランは主役ではないですね。
ドラン推しのパブに異論はありませんが。
そうしなければ日本では公開さえ叶わないでしょうし。
軸となるのはエホバの証人である看護師が、信仰に疑問を抱き、信仰に背くまでの葛藤です。
神はいるのか。信仰は全てに勝るのか。
ドランは看護師の女性のフィアンセで、白血病の青年役です。
マミーやマイマザーに出ていたアンヌドルヴァルも出演しています。
かつて姪に手を出した(のでしょう多分)麻薬密売人、
ジャンキーなギャンブル狂のアンヌの夫、
アンヌドルヴァルはアルコール依存症の妻、
老いらくの不倫にハマるカップル、
彼らのエピソードが、看護師と白血病のカップルのエピソードと時間軸をごちゃ混ぜにして語られていきます。
ネタバレですが、こういうお話でした。
麻薬密売人は姪に会いたくて、でも罪悪感があるのでせめて稼ぎを渡したくて、カナダに戻って来た。
麻薬密売人が飛行機事故の唯一の生き残りで、なので不倫カップルは多分事故で死んだ。
生き残りの密売人は、兄の手回しでギャンブル狂の席に彼の代わりとして搭乗したので、アルコール依存症の妻が身元確認に来た。
生き残りの彼と血液型が同じだったので、主人公の看護師は、信仰に背き、輸血をした(密売人に血をあげた)。
主人公は飛行機事故の現場を見て、強いショックを受けた。
死んだ不倫カップルの女性の夫の家に、主人公と友人はエホバの証人の勧誘にいって、飛行機事故で妻を失った夫から、全能の神なんていないから飛行機事故は起きたんだと言われた。
主人公は、輸血をしたことで信者仲間から制裁を受けてコミュニティを去った。そしてかつての恋人が信仰を守って骨髄移植を受けずに白血病で死んだことを聞かされ映画は終る。
これがごっちゃごちゃになって出てくるので分かりにくいです。主人公カップルの時間軸は基本ずれません。
私は、神はいるけれど、それは人間が生んだ生きていく方便だと、多少の迷いとともにそう思っています。
なので信仰が人の幸せよりも、優先されるのは違うと思っています。
もちろんいろんな考えがあるので、違う考えを否定しませんが。
違う考えの人がたくさんいる映画で、興味深く思いました。街頭によくいるエホバの証人の人達はこの映画をどう思うのか聞いてみたいと思いました(聞きませんが)。
あなたにとって揺らぐものは何か
「神がいたら飛行機は墜落しない」
このセリフが主人公を考えさせ、観ている観客にも投げかける。
信仰とは何か。
信仰より大事なものはあるのか。
正解なんてない。
ないからこそ、考えて考えまくる。
正解を出す映画ではなく、観客に考えさせる映画。
信仰心がある人を私は凄いと思う。
そこまで信じれる気持ちがあることは素敵な事だと思う。
ただ唯一感じる事。
この映画に関わらず信仰心を持っている人・団体に感じる事。
その信仰を止めた人への態度は何なんだろう。
今まで家族のように関わってきた人が、自分の考えを持って「この信仰を止める」と言った時、どうしてそこまで冷たくなるんだろう。
気持ちは分かるが何故そこまでのあからさまな態度なのだろう。
仲良く付き合えとは思わない。
軽い挨拶くらいするのも何故ダメなんだろう。
神はそれを望んでいるんだろうか。
人間は意志を持っている。
考える脳がある。
信仰はやめても、その教えはその人の中で生きていくはず。
「もう同じ方向は向いていないけど、あなたも救われて生きますように。」
そう皆が思えば、信仰心のある人へ、宗教への見方は確実に変わるんじゃないかなとそう感じた。
色んな気持ちが芽生え、自分が何に揺らぐのか。
帰り道はそんなことを考えた。
飛行機が墜ちるのは
人と人との繋がりや因果をみせる映画で、飛行機が墜ちるところに話しは向かって行く…あらすじは読んでいたけれど、結構序盤で飛行機が墜落してびっくり。
後は各登場人物達がどう飛行機や他の登場人物に繋がって行くかと思っていたら…あっさり飛行機とは繋がり、人同士はすれ違う程度。
飛行機がどうこうではなく、どう死に行くのかという話ね。
メインがエホバのカップルで、信仰心がほぼない自分にしたら、信仰が過ぎるのは、それこそ生きることに向き合わない罪なことに感じる。
『飛行機が墜ちるのは全能の神がいないから』ではないからね。
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