「ドラン主役じゃないです:信仰への問いかけ」神のゆらぎ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラン主役じゃないです:信仰への問いかけ
グザヴィエドラン見たさで見ましたよ。
でもドランは主役ではないですね。
ドラン推しのパブに異論はありませんが。
そうしなければ日本では公開さえ叶わないでしょうし。
軸となるのはエホバの証人である看護師が、信仰に疑問を抱き、信仰に背くまでの葛藤です。
神はいるのか。信仰は全てに勝るのか。
ドランは看護師の女性のフィアンセで、白血病の青年役です。
マミーやマイマザーに出ていたアンヌドルヴァルも出演しています。
かつて姪に手を出した(のでしょう多分)麻薬密売人、
ジャンキーなギャンブル狂のアンヌの夫、
アンヌドルヴァルはアルコール依存症の妻、
老いらくの不倫にハマるカップル、
彼らのエピソードが、看護師と白血病のカップルのエピソードと時間軸をごちゃ混ぜにして語られていきます。
ネタバレですが、こういうお話でした。
麻薬密売人は姪に会いたくて、でも罪悪感があるのでせめて稼ぎを渡したくて、カナダに戻って来た。
麻薬密売人が飛行機事故の唯一の生き残りで、なので不倫カップルは多分事故で死んだ。
生き残りの密売人は、兄の手回しでギャンブル狂の席に彼の代わりとして搭乗したので、アルコール依存症の妻が身元確認に来た。
生き残りの彼と血液型が同じだったので、主人公の看護師は、信仰に背き、輸血をした(密売人に血をあげた)。
主人公は飛行機事故の現場を見て、強いショックを受けた。
死んだ不倫カップルの女性の夫の家に、主人公と友人はエホバの証人の勧誘にいって、飛行機事故で妻を失った夫から、全能の神なんていないから飛行機事故は起きたんだと言われた。
主人公は、輸血をしたことで信者仲間から制裁を受けてコミュニティを去った。そしてかつての恋人が信仰を守って骨髄移植を受けずに白血病で死んだことを聞かされ映画は終る。
これがごっちゃごちゃになって出てくるので分かりにくいです。主人公カップルの時間軸は基本ずれません。
私は、神はいるけれど、それは人間が生んだ生きていく方便だと、多少の迷いとともにそう思っています。
なので信仰が人の幸せよりも、優先されるのは違うと思っています。
もちろんいろんな考えがあるので、違う考えを否定しませんが。
違う考えの人がたくさんいる映画で、興味深く思いました。街頭によくいるエホバの証人の人達はこの映画をどう思うのか聞いてみたいと思いました(聞きませんが)。