「偽物の矜持」東京ウィンドオーケストラ よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
偽物の矜持
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有名なオーケストラに間違われて、遥々屋久島まで来たアマチュアたちは、最後にステージでの演奏を実現する。
冴えない上司との偽りの男女関係、自分の手違いで本来の演奏者がいないコンサート、役場の女性はこの両方のカタを一気につける。
この映画には、偽物たちによる彼らなりのけじめの付け方が描かれている。
新宿武蔵野館のロビーにて、アマチュア楽団員の一人を演じていた俳優氏におすすめされなかったら、見に行ったかどうか分からない作品。
だけども、オープニングのシークエンスの固定カメラのショットの連続は明らかに小津安二郎へのオマージュを感じさせ、とりわけ、港に高速船が入ってくるシーンの防波堤の赤い灯台は「浮草」の冒頭を思い起こさせる。
私は気付かなかったが、もしかしたら成瀬の「浮雲」へのオマージュを感じさせる演出もあったのではと再観賞の誘惑にかられる。
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