劇場公開日 2017年6月17日

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「圧巻のタップ、お粗末なショー(作品)」TAP THE LAST SHOW 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5圧巻のタップ、お粗末なショー(作品)

2018年1月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

寝られる

水谷豊が40年温めてきた企画を、自身の初メガホンで映画化。
多分相当な思い入れや熱意で遂に実現させたのだろうが…、残念かな、平凡な出来だった。

大まかなあらすじは王道の挫折からの再起モノで悪くはないんだけど、何て言ったらいいのか…、全てがありきたりでセンスも古臭い。
潰れかけの劇場が最後に華々しいショーを開く。これを40年温めていたらしいが、同じ話を最近『SING』で見たぞ。
かつてプロのタップダンサーだったが、怪我で一線を退き、今は酒に溺れる日々。水谷豊演じる主人公・渡のキャラ背景がステレオタイプ。
旧知の劇場支配人の頼みで重い腰を上げるが、意外とあっさり引き受ける。彼を再び駆り立てたのは何だったのだろう?
オーディションに来た若いダンサーたち。言うまでもなく、それぞれに悩みや問題が。巧く描き分けられてるとは言えず、どの若いダンサーもどのエピソードも魅力薄。『SING』や『チア☆ダン』と比較するのも気が引ける。これも力量?

致命的なのは、そのセンスの無さ。
演出も展開も単調で、ただ並べているに過ぎない。
意味不明なショットもちらほら。
一応真面目な内容だが、最初のオーディションのシーンなどユーモアも織り込んでいるものの、寒いくらいダダスベリ。
スタイリッシュな映像や時折流れるジャズ風の音楽で洒落てムードある世界を創ってるつもりが、全てが古臭くて古臭くて!
アメリカンな雰囲気がそれに拍車をかける。あんなダイナーみたいなファミレス、ある?
かの角川春樹現時点での最後の映画『笑う警官』と同じ匂いを感じてしまった。

演技力や設定はどうあれ、鬼のようなスパルタさを見せる水谷豊は天才変人警部とはまた違った雰囲気を醸し出していた。
岸部一徳、六角精二、片桐竜次、小野了ら今年で18年来の“相棒”の出演にはニヤリ。
特に腐れ縁的な役柄の岸部一徳とのやり取りは感慨深いものがある。

若いダンサーたちはタップダンスの巧さで選ばれた面々。
なのでやはり、クライマックスを飾る24分に及ぶライブ感たっぷりのショーは圧巻。
これまでの鬱憤を晴らしてくれるほど。

タップダンスはお見事。
でもそれ以外は、ショーと言うにはあまりにもお粗末。

近大