「作画目当てで鑑賞した結果」劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] I. presage flower　ふーせんがむさんの映画レビュー（感想・評価）

Fatezero、原作別ルートアニメを少し観たのと、今流行りのFGOを始めて半年程度のにわか知識で観に行きました。
告知PVからしてアクション等の作画に力が入っているなと思っていましたが、実際に映画館で観るのはやはり迫力が違う。

丁寧に描かれる日常パートと戦闘シーンとの緩急が激しく、特に戦闘シーンではとにかくカメラワークが凄い。動く動く。臨場感すら感じさせるサーヴァント同士の戦闘音がさらに映像を引き立てていると感じました。

ただ、全くの初見では物語の導入部が大幅に省かれているというのはレビューでも再三書かれているので割愛しますが、それよりも感じたのは観終わった後、時系列が中々に分かりにくい。
シーンの切り替えで一方その頃…といった急な切り替えや、全く別の場所にいる各キャラクターのシーンを行き来する場面が多く、細切れの映像を繋げた感が否めません。
映画の尺の都合もあると思うのですが、物語が進む時間も昼夜が無茶苦茶で、その辺りでも「分かっている人向け」というニュアンスが伝わってきます。その為、観終わった後に思い出そうとしても思い出せないシーンが多いです。(唐突なセリフの無いキャラクターのシーンや、同じような日常、同じ夢、丁寧な描写で淡々と進む表現故)
勿論、3章ある本作の1章なので伏線を散りばめるのは分かるのですが…

しかし、各キャラクターがどういった思いがあり行動にしているかといった心理描写が丁寧で(あくまで原作を知っている前提)、小説形式でキャラクターの心情を既に知っていればファンビデオとしてこれ以上嬉しいことはないのではないでしょうか。
加えて、上にも書いたように戦闘シーンの作画は非常にクオリティが高い点。エフェクトやカメラの動かし方が最大限にアニメーションの動きを引き出し、ここまでスピード感、緊張感のある表現ができるのか…とただただ圧倒されます。

既に次の2章が待ち遠しく、原作のゲームなり漫画なりで続きを知りたくなるシナリオでした。
私のようにこれを期に、一度このFateシリーズをしっかり知りたいと思う人が増えてほしいと感じる次第です。

長々と書きましたが映像として観れたことに大満足、シナリオに興味を持てたという点で更に加点で☆5では足りないと感じています。
是非3章とも映画館で鑑賞したいと思える作品でした。