「音痴ですけど、何か?」マダム・フローレンス! 夢見るふたり 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
音痴ですけど、何か?
小規模な公演をしながら、音楽活動に貢献し続ける富豪のマダム。
ソプラノ歌手を夢見る彼女は、音楽の殿堂、カーネギーホールでの公演を計画。
ところが彼女、とんでもない音痴だった!
超音痴ながらも、カーネギーホールで満員公演を実現させたフローレンス・フォスター・ジェンキンスの実話に基づくドラマ。
マダムの歌がどんだけ……か。
これはもう、語るより聞いて貰った方がいい。
自分に音痴の自覚は無く、歌の才能に溢れていると自信満々で歌う。つまり、ジャイアンタイプ。
まずは歌を完璧にマスターし、そこから徐々に音程を崩していって、見事な調子外れの歌声を披露したメリル・ストリープに天晴れ。
妻の夢の実現の為に歌のレッスンや劇場を手配し、客は全員マダムの信奉者、記者を買収し、酷評新聞を買い込み…。
裏工作しまくりだが、全ては妻の為。
ちゃっかり愛人いるものの、妻を支え、深く愛している。
それをヒュー・グラントが演じているのだから憎めない。
オスカーノミネート落選は残念!
また、嫌々ながらも伴奏を任せられた無名のピアニスト。
彼がナイスな味を加える。
客観的に見れば、金持ちマダムのワガママ。
客は陰で嘲笑。晒し者。
批評家は音楽への冒涜とブチギレ。
しかもマダムは重い病を抱え…。
でも、あんなに楽しそうに歌う子供のような天真爛漫なマダムを見てると何も言えんのよ。
「マダムの歌は皆を幸せにする」と言う夫の言葉に偽りは無い筈。
上手い下手もあるけど、どれほど音楽を愛したか。
マダムの歌声は歓喜に溢れている。
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