「メリル&ヒューのコンビを愉しむ」マダム・フローレンス! 夢見るふたり りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
メリル&ヒューのコンビを愉しむ
世紀の音痴歌手といわれるフローレンス・フォスター・ジェンキンスの伝記ドラマ。同種の音痴歌手を題材にした映画はカトリーヌ・フロ主演の『偉大なるマルグリット』があったが、まるっきり趣の異なる映画。
1944年、ニューヨーク。
第二次世界大戦も終局目前。
音楽を愛する社交界の大物マダム・フローレンス・ジェンキンス(メリル・ストリープ)は、多大な資産を使って音楽界を支えてきた。
70歳を超えた彼女であったが、梅毒という持病を抱えながらも、歌手として舞台に立ちたいという夢は捨ててはいなかった。
その夢を支えるのは、彼女のパートナー、シンクレア・ベイフィールド(ヒュー・グラント)。
しかし、なんといっても最大の欠点は、マダムが音痴であること・・・
というハナシで、とにかく、メリル・ストリープ、ヒュー・グラントの演技を愉しむための映画。
もともと歌の上手いメリル・ストリープ、さぞかし下手に歌うのは難しかっただろうが、そこはそこ。
下手っぷりも堂に入っている(中音域では上手く聞こえてしまうので、高音域を金切り声にして調子っぱずれにして歌っているようだ)。
さらに、相方ヒュー・グラントがいい。
米国アカデミー賞主演女優賞2度、助演女優賞1度という彼女に対して、一歩も引けを取らない。
この映画、彼の役が下手だと、どうにもガタピシしてしまうところを、好色な二枚目半を見事に演じている。
「シング・シング・シング」の踊りっぷりも、なんとも楽しい。
さらにさらに、このふたりを見事にサポートするのが、伴奏ピアニストのコズメ役サイモン・ヘルバーグ。
ちょっとナヨっとして線は細いが、ふたりのパワーを上手くやわらげている。
まぁ、ストーリー的には予定調和の物語だけれど、この手の映画を撮らせるとスティーヴン・フリアーズ監督はさすがに上手い。
評価は少々オマケ込み。