「オウム真理教の事件から20年も前にチリであった実話」コロニア 山川夏子さんの映画レビュー(感想・評価)
オウム真理教の事件から20年も前にチリであった実話
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怖かった。
フィクションだろうと思っていたら実話なんだそうで、
戦時中はナチスの隊員だったパウル・シェーファーが教祖をつとめる、オウム真理教よりヤバいカルト宗教団体のマインドコントロールと支配、虐待・暴力の実態。
ハリーポッターのハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンさんが、チリのクーデーターに巻き込まれ行方不明になった恋人を探すためにカルト宗教団体の施設に単身で潜入する、客室乗務員の女性を演じる。
エマ・ワトソンさんはフェミニズム運動家としても知られる女性で、フェミニズム運動家の視線でいえば、「有害な男性性」の最たる人物であるカルト宗教団体の教祖パウル・シェーファーの悪の実態を掴んで、証拠をもって命がけで逃走して世界に悪事を公表する、ハードボイルドな内容で、骨太の映画でした。
「女はバカで、だまってニコニコしてるのが一番だ」とか「女はだまってろ」「女は前に出てくるな」「お前らが働いて金は俺がいただく」という女性差別、「お前らは愚かだ」と信者を言葉で愚弄して手足で殴り、人間の尊厳を奪い、「神の前にひれふせ」と絶対の服従を誓わせるカルト宗教の教祖の神の名を借りた暴力。
これは躾だ!」と言い張って、子供への暴力・虐待を正当化してエスカレートさせる毒親。パワハラ・セクハラが常態化している残念な人達。
誰かを下にみて、虐げることで自分が上位の人間でいるかのような気分に浸っている人達がこの世の中には意外とたくさんいます。
そういうことを考えると、エマワトソンさんが、どうしてこの作品の主役を受けたか、理解できるような気がしました。
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