「どこまで実話か知りたくなる」コロニア レインオさんの映画レビュー(感想・評価)
どこまで実話か知りたくなる
最初から物語に入りやすい映画だった。
スリラーだなんて知らなかったが、全体的にはいいペースで進んでいる。ダニエルはチリで反独裁政権活動を行ったり、レーナの身分背景や二人の関係性について説明しすぎないところがいい。早速もレーナと同じ視点でダニエルの救出を考え始める。
コロニアにある時間結構ドキドキした。特に三人が監獄から脱出する部分は緊張しすぎてたまんないし、最後飛行機に逃げるシーンも危機一髪のろころでそのあとほっとしようとするが、離陸の許可がなくなったりもして怖かった。まさか大使館まで!!
が、足りないところもある。特に最後で字幕でチリやドイツの政治的環境、コロニアについての史実を説明しようとするが、映画見るだけでなぜチリの事情はドイツと関わっているか、なぜドイツの大使館はチリの独裁者を味方にするかさっぱりわからない。他の人の解釈を見るとドイツの元ナチス官員が関与することを初めて知る。
で、一番きになるのは実話と言ってもどこまでか知りたい。そもそもこの映画にはつっこみたいところもいっぱいあって、例えばレーナは機長と仲良いところとか、あまりにも好都合でリアリティー欠如ではないかと思っちゃう。
一方、それでもこの映画には賞賛できるところも多い。
日数とかを地図と共に表示するのもいい感じだし、そのあとのトンネルの暗示にもなる。ここでトンネルは、彼たちが再び自由になる道であるし、またもう一つの秘密、あそこは独裁者の監獄であって、教皇の権力の地でありながら独裁者はあそこに犯人を運んで密かに虐待や暴力を振る舞うことを隠すところでもある。
またレーナはわざとミスを起こし、ダニエルに気づかれるところもいい。その時ちょうど逃げ出そうとするダニエルと、「罰」を下されるレーナを、クロスカッティングで交互に映すところが感情の盛り上がりに効果的で好きだった。
一部始終に感情を入れてスリラーを感じられる映画だった。