「インテリ風なゲテ物」アノマリサ 思いついたら変えますさんの映画レビュー(感想・評価)
インテリ風なゲテ物
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おそらくは、僕が今抱いてる不快な感情ごと作り手の狙いなんだろうなとは感じる。
主人公の抱えてる人格的な欠陥のどこまでが「病」のせいなのかわからないので非難しにくいが、
兎に角振る舞いの端々が落ち着きなく、怯え、一縷の希望に縋り、過度に求めては落胆する。イライラしている彼の一挙手一投足に、今度は我々がイライラさせられてしまう。しかし絵的には彼の目から見た他者は本当にマネキンそのもので生気が感じにくく、彼の感じる嫌悪には共感を得てしまうのだ。
一目見りゃわかる大人のおもちゃ屋で海賊グッズの扱いを訪ねる姿は奇行のピークで、彼の混乱は深刻だ。
ラストに全てが自分の振る舞いゆえに水泡に帰り、疲れ果て、諦め、子供に精液のついた人形を与えることで彼の倫理の欠落は決定的になる。しかしどこかでそれを自覚しているのが救いがない。理性がなくなるまで壊れてしまった方がまだ幸せかもしれない。「症状」とも「持ち前の傲慢さ」ともつかないそれが他者に理解できるものでない以上、誰も彼に手を差し伸べることなどできないのだ。これを形にして世に放った残酷さ、悪趣味さ。
それにしてもあの歌う機能付きの芸者風の人形、どうやって「使う」んだ?
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