「何から何までアノマリー」アノマリサ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
何から何までアノマリー
『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』『エターナル・サンシャイン』の脚本で知られるチャーリー・カウフマンが2015年に監督したストップモーション・アニメ。
一風変わった作品を送り出す異才なのだから、アニメと言っても勿論普通のアニメではない。
緻密なストップモーションやその独創性は高く評価されたものの、良くも悪くも好き嫌い分かれる事必至。ハリウッドのアニメ=楽しいだけの子供向けのディズニーやイルミネーションとはまるで違う、R15のセックス・シーンだってある、大人向け異色のアニメーション!
カスタマーサービスで成功したマイケル。
が、単調な毎日にうんざりし、どの人々も同じ顔に見え、同じ声に聴こえる。
講演でシンシナティーを訪れる。
元恋人と再会。宿泊ホテルに誘うも、激しく拒否される。
街中をさ迷い、とある大人の玩具店へ。日本製のからくり人形に魅せられる。
ホテルに戻り、リサという女性と出会う。彼女だけ顔も声も違って見え聴こえ、互いに惹かれ合うが…。
簡単なあらすじだけ追うと孤独な男女が出会って…の大人のラブストーリーにも感じるが、これが実際見てると、どう捉えていいか分からない。
解釈も色々あるとか。
マイケルは精神疾患。周りの人々が皆同じ顔同じ声なのはそれ故。
自分としては、変わらぬつまらぬ毎日の表れと感じた。
リサの正体は、実はからくり人形。帰宅して息子にプレゼントした際、○○が付着していた事も確かに繋がる。
しかしこれも、全てマイケルの妄想だったのか、リサは実在していたのか。
“アノマリサ”の意味。“アノマリー(変則的)”にリサを付けた造語であり、日本語では“天国の女神”。
それも含め、からくり人形に終盤突然その人形が歌い出す“桃太郎”に深読みで“アノマリサ”とは天照大神の意では?…など、日本文化がちらほら。でも日本人から見れば、オイオイ描写も…。
…と、以上感じた事思った事並べ立ててみたが、それでも分からない。
でも、一つ気付いた事が。
元恋人と再会。大人の玩具を購入。出会った女性を誘う。
実は本作、変態中年エロオヤジの話だったのかもしれない。
それもそれで、アノマリー!