「このご時世、観ておいていいかもと思う作品」彼らが本気で編むときは、 零式五十二型さんの映画レビュー(感想・評価)
このご時世、観ておいていいかもと思う作品
この映画。
何より作りが丁寧だ!
テーマの前に作品の総合力として称賛出来る。
初めて観るトランスジェンダーとネグレクトの少女を中心にした物語。
実にリアリティを感じながら、作り物的な違和感を感じさせない。
実際自分の知り得る人でトランスジェンダーもしくはLGBTに出会した事がない。
なので知ったかぶりをする様な事をココでは書きたくない。
作中のセリフでは唸るシーンが多く、その先が気になり続ける。上手い。
音。
オープニングからこだわりを感じる。
様々な生活音の再現において5.1サラウンドを実に丁寧に使う。
作品の終始、この生活音の再現性には強めに聞こえてくるので作品に包まれてくる。
認知は進んできていても、社会の受け入れやルール、制度がまだまだ整わない中ではまだまだ懸案事項が山積みだ。
それでも今その人たちはリアルタイムにその環境下で生きていかねばいけないんだなとこの作品では伝えてくる。
奇しくもリンコの母親役の田中美佐子さん。
鍋パーティー中のセリフはご法度と思われがちだが、綺麗事無しに本音を映画で見せたことに意義はあるなと思って感心してしまった。
そうだと思うが、口に出すのは難しいのだ。
子役主人公の柿原りんこちゃん。
この子、どっかで見たかなぁと調べたら大河ドラマの西郷どんの序盤で村の娘役で衝撃的にいい演技をしてチェックしてたこと気づいた!
この映画を観てやっぱりなぁと納得の子役さん。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、結論もオチもないが、観た人には何か新しく感じ取ったものがあればという事だろう。
エンドロール中の楽曲の選曲が見事過ぎて感動締めでした。
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