「採点制では測れないリミット越えの魅力」ハルチカ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
採点制では測れないリミット越えの魅力
完全にノーマークでした、心からごめんなさい。『箱入り息子の恋』の市井昌秀監督とは知らなかったんです、なんてのは言い訳にもならない。ざっくりよくあるアイドル青春映画でしょうとスルーしてしまっていたのだ。
『ゴッドファーザー』ばりにヒロインの顔を影で覆う撮影や、中盤のハラハラに満ちた長回し、説明セリフに頼らない終盤など随所で攻めている。完璧ではまったくないが、最初から100点を狙っていない。むしろ届く人には1000点にも2000点にもなり得る映画だ。
とりわけ感じ入ったのが「もう一度失敗するチャンス」を描いていること。がんばれば夢が叶う、ではない。全国大会優勝とか、アーティスティックな才能が開花とかでもない。誰もが味わう理想と現実のギャップ、そして挫折の先に見える光を描いた名作。原作とはジャンルが変わってしまっているらしいのでファンの方は複雑でしょうが、この映画に出逢えて良かったです。
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