「数百名の職員を命の危険に晒す判断。撤退を断固拒否した菅総理の決断は重たい。」太陽の蓋 よしさんの映画レビュー(感想・評価)
数百名の職員を命の危険に晒す判断。撤退を断固拒否した菅総理の決断は重たい。
東北大震災の折に発生した福島第一原発事故の経緯を、官邸サイド目線でドキュメンタリータッチで描く物語。
菅総理大臣戦犯論が一般的な認識の中で、官邸で起きた事象を(一見して)正確に描くことで、実際に何が起きたのかを描き、何が問題だったのかを提起した作品です。
「踊る大捜査線」の青島刑事の言葉ではありませんが、「事件は現場で起きている」。だから、現場優先で動く・・・それはとても正しいこと。
でも、最後の責任を負うのは総理大臣。総理大臣に正しい情報を迅速に上げ、正しい判断が出来るようにすることは絶対的に必要なこと。それが出来ていないのであれば、それは東電サイドが責められるべきです。
もし、自民党政権なら、東電側もそのような体勢を構築したのかもしれない。その意味では、民主党政権の力不足なのだとは思いますが、敗戦以来の国難に対処する当事者がそんな理由で情報を途絶させて言い訳がない。
首相が東電本社に乗り込んだシーンは、東電に対する憤りで手が震える思いでした。
ただ、この映画が公平な視点で描かれているとは限りません。東電本社サイドから見たら、また別の見方も出てくるのでしょう。折角「官邸」と「現場」の視点が描かれているので、東電本社の視点からも描けていれば、もっと問題点を焙り出せたかも知れません。
それにしても、日本を滅ぼしかねない危険性を秘めた原発が、民間企業に委ねられていることの不条理をつくづく感じさせる映画でした。
私的評価は4.5にしました。
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