「全部見てきた猫がしゃべれたらなあ、と思いながら。」FAKE 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
全部見てきた猫がしゃべれたらなあ、と思いながら。
なんちゃない。結局、この本人も、奥さんも、ノンフィクション作家も、TVプロデューサーも、新垣も、みんなFAKE。監督自身も、その自覚があるのだろう。だから、最後の最後に、あんな幼稚な音源を自慢げに披露した本人を担ぎ上げ、奥さんをも持ち上げて、「私を信用してます?」といまさら聞き、「何か隠していることはないですか?」と踏み絵を踏ます。
どう見ても、監督自身が本人の嘘を確信しているでしょ?
こんな内容(判断を客にゆだねるような)じゃなきゃ、本人の承諾を得られないからこうしたまでだ。正直、ところどころにはっきりと悪意のある編集はされているのに、それに気づかない本人は間抜けだ。
だって、耳が聞こえない人特有のどもったしゃべりじゃないし。たまに明らかにリアクションが早い(会話を聞き取れている)ときがあるし。父親の話が、全部聞こえてる反応をしているし。
おかしいよ、観てて。いま、確実に聞こえてたでしょ!って何度も思ったもん。
それに、音楽をやっていた人間が、譜面を書けないなんて、どう考えたってあり得ない。あの、指示書見せられて、新垣がバカにしてしまうのもわかるよ。
ほんとに、マスコミがでたらめを垂れ流したって主張するのであれば、「隠してないか?」と聞かれたときに、「ない!まだ信用できないのか!」と怒るだろう?
監督は、味方のフリをして懐深く潜り込み、世間に真実の一端を公開してくれた。その労力にはご苦労さんと言いたい。
上映回数増やしても、それでも満員。いまだ、世間の関心の高さを垣間見た。
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