「【本を心から愛する人達の、国境を越えた贈り物と絆。】」チャーリング・クロス街84番地 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【本を心から愛する人達の、国境を越えた贈り物と絆。】
ー我が街から古書店が無くなって、久しい。(新古書店はあるが・・)
数年に一度は買取に来ていただき、私も又、良く足を運んだものだ。-
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舞台は第二次世界大戦後のニューヨーク。女流作家ヘレーヌは英国文学が好きだが、近くにはお気に入りの店がないようだ。
ある日、新聞の小さな広告に気になるモノがあり、試しにその店に本を注文する。店の名前は、マークス社。住所はロンドン、チャリングクロス街84番地。
■この作品の魅力的な所
・ニューヨークに住む売れない女流作家とロンドンの古書店主フランクとの”時差が発生してしまう、手紙の遣り取り”である。
ヘレーヌは気に入らない本が送られてくると、”歯に衣着せぬ手紙”をフランク(アンソニー・ホプキンス:気品漂う、イングリッシュ・ジェントルマンを見事に演じる。)に送る程、本に拘るひとだが、頻繁に缶詰などもマークス社の人達に送ったりもする。
二人の本を深く愛する姿や、優しい気質が非常に良く分かるのである。
・ニューヨークとロンドンという地理的距離が絶妙な事。又、当時ニューヨークでは物資が豊富だが、ロンドンは貧しかった事がさりげなく描かれている。
マークス社の人達がヘレーヌから送られてくる缶詰に喜ぶシーンは微笑ましい。
・20年以上手紙の交流を続ける二人だが、”色々あって”顔を合わせる事がなかった事。これが、ラストの数シーンに効いてくる。
<ヘレーヌがフランクに宛てた手紙に対しての返信が、妻ノーラ(ジュディ・デンチ)からだった事。その手紙に書かれていた事。(沁みます・・。)、そして、ヘレーヌが取った行動。
気品溢れる本好きには堪らない掌編である。>
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