「パレスチナ・ガザ地区で撮影されたこと自体に驚き」歌声にのった少年 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
パレスチナ・ガザ地区で撮影されたこと自体に驚き
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本作のモデルになったのは、人気オーディション番組エジプト版「アラブ・アイドル」に出場し、2013年の“アラブ・アイドル”に輝いたムハンマド・アッサーフ(公式サイト)。実際にあったことをベースにし、ロケも爆撃の続くパレスチナにて撮影。これがいかに凄いことかは画面だけ見ても分からないかもしれない。ベイルートやカイロの大都会の映像も出てくるが、それは近代都市。
ストーリー展開は前半と後半で大きく二つに分かれるが、個人的には前半の少年時代の頃の子どもたちの夢と現実の間で生きていく日常が印象に残った。後半は青年になった主人公とオーディションに勝ち上がる様子が描かれているが、実際にはこの時の方がとても危ない状況であるにも関わらず、歌が素晴らしいの一言で解決するのが物足りなかった。
コンテストがテレビで放映され、勝ち上がっていく様子がパレスチナに知れ渡り、オリンピックのようにパレスチナ人の期待を背負って立つことになってしまう。そのプレシャーは相当のものがあっただろう。ただ歌が歌いたい少年が誰かのために歌わなければならない。
結果からみればサクセスストーリーだが、その苦悩は計り知れない。
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