「悲劇と復讐の彷徨」鬼はさまよう 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
悲劇と復讐の彷徨
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バイオレンス、狂気と陰鬱なストーリー…。
これぞ韓国サスペンス!…な一本。
刑事テスが偶然逮捕した当て逃げ犯は、巷を震え上がらせている連続殺人犯だった。
その被害者の中に、テスの妹が含まれている事を知り…。
殺人犯ガンチョンに戦慄。
もはや人の感情の欠片も無いのだろうか。
犯行も主人公たちの奔走も自分の行く末までも、不敵にほくそ笑む。
「妹の居場所を教えてくれ!」と土下座する(!)テスに、「自分で捜せ」と鬼畜の所業!
あるシーンで襲撃に遭うが、刺されても刺されても倒れない強靭さ(と場所が場所なだけに素っ裸)はターミネーター!
そして、遂に○されるラスト、自分の最期すら不敵に笑う。
途中までみやぞんにしか見えなかったが、鬼か悪魔か怪物か。
パク・ソンウンが恐演。
この殺人鬼が序盤で逮捕されてしまうので、追う刑事vs逃げ続ける殺人鬼の展開ではない。
悲劇によって人生を狂わされた二人の男のドラマがメイン。
即ち、テスとその義弟スンヒョン。
テスは必死に妹の遺体を捜すが、スンヒョンは…。
ちと冴えない風貌だが、画に描いたような“いい人”のスンヒョン。きっと妻の尻に敷かれながらも、それが幸せだったであろう。
それを全て奪われた。
残されたのは、悲しみ、怒りと憎しみ。
復讐を誓うスンヒョンは、一線を越えてしまう…。
義兄とも対峙。
テスも辛く、苦しい。義弟を救いたいのに、救えない。
元凶である殺人鬼は、その顛末を見て、ほくそ笑む。
結末も後味悪い。
ああなるしか無かったのだろうか。
誰も救われない。浮かばれない。
だからより一層、映画のラストシーン、幸せだった頃の主人公と妹夫婦の姿に…。
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