劇場公開日 2017年10月28日

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「ちょっと評価が難しいけど、悪くはない」ポリーナ、私を踊る 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ちょっと評価が難しいけど、悪くはない

2017年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

バレエに打ち込む少女の挫折と、挫折からの模索としてのコンテンポラリーダンスへの挑戦とか、そういう映画なのかなーと思って見てきました。でも何ていうか、ポリーナの生き様というか、人生の判断がいちいち軽くてちょっとびっくり。これは挫折でもなんでもない、今どきの若者特有のこらえ性の無さでは・・とも思えてしまいます。ダンサーの物語ではなく、単純に思春期の少女ポリーナの自分探しもの、と捉えた方がしっくり来ますね。

私自身バレエ鑑賞は好きなほうで、ボリショイ・バレエ団の来日公演を見に行ったり、マイヤ・プリセツカヤの来日公演に足を運んだ事などもあります。ですが専門的にバレエやダンスについて分析するほどの目は持ち合わせていません。なのでポリーナが挑戦していく数々のダンスについても、正直その良し悪しはちょっと分からない。まあ、ボリショイは近年色々と悪い噂がありましたし、入らなくて正解だったんじゃないの?とは思いますが(笑

ポリーナ役のアナスティア・シェフツォワは本作が映画デビューとの事ですが、中々に魅力的。アントワープ(ベルギー)の港で舞踏家のカール(ジェレミー・ベランガール)と一緒に歩きながら軽やかに舞い踊るシーンが美しく、印象に残ります。夜のバイトに明け暮れ、清楚で綺麗だったポリーナが、化粧やら髪型やら擦れていってどんどん劣化していくのがリアルだったなあ。ラストシーンはどういう事なのか、ちょっと分かりませんでしたが(分かる方教えてください笑)、無軌道に舞う蝶のようなポリーナの生き方と、彼女の体現するダンスがリンクしていて、奇妙な美しさに引き込まれてしまいました。カール役のジェレミー・ベランガールも、経歴を見れば納得!のダンスでしたね。

猫シャチ