アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のレビュー・感想・評価
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現実味溢れる緊迫感
戦争は会議室で起こっている。
どこかシンゴジラを思い出される感じですが、物凄い緊迫感。
軍人役のヘレン・ミレン(驚き)は、日常的な早朝のベッドから起きるなり、PCのスイッチを入れて軍人モード。同じくアラン・リックマンも孫?のプレゼントを買いながら、直後の軍人モード。
戦場から遥か彼方の会議室が舞台ゆえに複数のモニターに映し出される現場。それが緊張感を煽る。また説明の為のみのセリフを極力排除するストーリーもgood
現場の諜報活動での緊迫感溢れるストーリーも秀逸。
米英でのテロ対策に関するスタンスの違いも面白い。そして物語に引き込まれていく内に、観ているこちら側もどうすべきか、迷い出す。
一体どちらか正しい選択なのか?
非常に考えさせられる映画でした。
安全な会議室でこんな戦争をしてて良いのだろうか?と思ってましたが、最後のアラン、リックマンの台詞がまた余韻を残す。
そして報復の連鎖にならないことを祈りながら終わる。
是が非は観る者に委ねられる。
2017観るべき映画の一本でした。
それにしてもあんなカメラがあるのだろうか?欲しい。
なかなか見応えがありました。緊張感のあるなかで、所々にユーモアを交...
なかなか見応えがありました。緊張感のあるなかで、所々にユーモアを交えながら、人の命について議論が重ねられました。ただし、人の命とはいってもテロリストの命は一瞬の躊躇があっただけ。その躊躇の理由も米国人であるが故。ここでは無垢の少女の命。そこが議論の理由。テロリストを放置しておけば今後80人の命が危険にさらされる可能性がある。ただし、今テロリストを排除すれば一人の少女の命が消える。目の前の一人の命か今後可能性のある80人の命か。その天秤に正解はないと思う。軍人と政治家で語られる意味も違うし、米国と英国の温度差もあることが窺えた。皆が皆の立場で命を語る見ごたえのある作品だった。最後に少女の両親は、テロリストに変貌していきはしないかという懸念を残しつつ終わったことも、正しいことってなんなのかを深く考えさせられる。
アラン・リックマンを偲んで
アラン・リックマンのファンです。
最後の遺作ということで見に行きました。
内容は面白くずっと緊張してみていました。正直 怒り が重い話だと思ったらそこまで…って感じで物足りなかったのですが、これはドストライクでした。
こういうオチでも綺麗にまとまるというか。ただ幸せだね!犠牲者ゼロ!とかそういうものじゃなかったのが良かったです。
アラン・リックマンの軍人を冒涜された際の静かに怒るシーンが本当に素敵でした。流石でした。
そして皆が任務を引きずる中、大尉に子供のプレゼントを渡されてすぐに日常へと切り替えるというシーンも表情がよくて本当にうまいなあと実感しました。
個人的なツボとしては主人公であるキャサリンとチャットでやり取りをする際に「…」を用いていたり、YouTube!と発するシーンが本当に可愛かったです。
スタッフロール直前に「アラン・リックマンを偲んで」とコメントされており、本当にいなくなってしまったんだなあと思いました。
アラン・リックマンのファンや重い話が好きな方は楽しめると思います!
命題
秀逸なオープニングだった。
音楽ともシンクロし、状況が瞬時に把握できる。
そして、壮絶なライブ感であった。
いや、現場を見る事などはないのだけれど、あんなにクリアな映像を目の当たりにするのかと、人類の叡智に驚いた。
冒頭語られる一文が心に刻まれる。
「戦争で一番最初の犠牲は真実である」
仕掛ける側は、自身の正当性を証明しなくてはならず、それを獲得するに至るまでの仔細が語られる。
思うのは、責任を回避したい人のズルさであり、そのズルさを曖昧にできる狡猾なシステムでもある。
でも、誰もそんなものの責任などを背負えるはずはなく、また、その記憶がなくなる事はない。
重たい緊迫感と沈黙が画面を支配する。
どっちの言い分も分かる。
80人分の人生と1人分の人生を秤にかける。
でも…結局は同じなのではないのかと思う。
1人の死は1人では収まらない。
それに関係する人々を巻き込む。
亡くなった娘の父親が、テロリストに変貌し、旅客機をニューヨークに突っ込ませないとは誰にも言い切れないのである。
命の重さというよりは、今後想定出来る被害の有様を秤にかけていた。
現状ある問題に対し、言い訳と言い逃れを模索しているに過ぎない。
だが…
当事者はそんなに簡潔にはいかない。
凄い残酷なシステムにも思えた。
五分ではないし、自分の成果を確認し報告するまでが仕事のようだ。
世界が歪んで行く経緯を傍観する…そんな事を考えうすら寒い印象を覚えた。
「12時間後にまた戻ってこい」
なんて無慈悲な命令なのだろう。
歩いていく背中が、今にも崩れそうだった。
もし少女がパンを売りに来なかったら
サスペンス映画として楽しめたけど瑣末な事がひっかかる身としては、現場の射手が作戦の再考を提案できる事と想定被害の確率の検証を1人でしてる事に違和感
テロであろうがその阻止であろうが殺人には違いない
事件はテレビ会議で起きている
現場に任せてしまうと間違った判断も起きるから、より多方面の意見を集約して正しい答えを探そうとする。そして組織では、権限が制限され、手順が多くなる。これが社会的潮流。しかし、正解がなければどうしたものか。
社会に正解が用意されていることは稀で、常に人の判断には誤りがある。そのことを引き受けるガッツがなければ、組織はダッチロールを始める。人の判断を信用しないのは、それを委譲した者の責任回避のため。技術的進歩が、届かなかったはずの現場を生み出し、同時に現場に不能をもたらす。そもそも現場には誰もいない。キリがないリスクとコンプライアンスが問題と責任に霧を覆う。
それにしてもどっしりした映画だった。無人機攻撃の道徳やパイロットのPTSDの話かと思ったら、そういった点も拾いながらも、テロ戦争に葛藤する我々の矛盾を浮かび出させてくる。これだけの質と内容で、単館上映というのが信じられん。
現代の戦争とは
遠隔操作でドローンを飛ばして攻撃、という事実は知っていたが、遥か上空からこんなに鮮明な画像が撮れる事とか、顔認証システムの早さと精度とか、ここまでテクノロジーが進化しているとは知らず。まさかあんな小さな虫型のドローンで偵察を行っているとか、ホント驚きだった。この虫型ドローンが途中でバッテリー切れを起こした時は「オイオイ…作戦前にフル充電しとけよ…」と思ったけど、考えてみたらあそこまで小さい機体に搭載できる電池の容量なんて限られてるよな…と後から思いました。
(空の上の)”目”の前の少女を救うべきか、起こり得るテロで殺害される可能性がある80人の不特定多数を助けるべきか、という苦渋の選択は、自分ではない誰かに決断を委ねるたくなるし観客も一緒になって苦しみながら観る映画でした。
タイムサスペンス要素が強く、政治家、軍の司令部、パイロット…とそれぞれが攻撃を決断できずに、もう早く決めてーーーとハラハラさせられ続けるんだけど、やっと最終爆撃が決断された直後の軍隊の動きがイチイチ遅い!パイロット、何3回コール待ってんだよ!!あそこは矢継ぎ早に進めて欲しかったです。
個人的にはアラン・リックマン演じる中将がカッコよかった。作戦実行前ギリギリまで孫へのオモチャに悩んでるような爺さんが「子供を助けるべき!」とか言い出すんだろうと思いきや、数々の戦場を経験してきた誇りと自信で(彼の考える)正しさに基づいて発言できる男!いい!
観て損はない映画だと思います。
欺瞞に満ちた正義
シリアスな映画であり、欺瞞に満ちた正義がどのように作り出されるのかを丁寧に描く。
登場人物たちはそれぞれ自分の正義を貫いているつもりだが、結局は最悪の結果を招くことになるし、過激なイスラム教徒を『狂信者』と呼んで距離を取っていた父親は復讐の道へと進んでいってしまうのだろうな、と思わせられる。
考えさせられる作品。
緊迫の戦争会議室サスペンス
明確な使命と責任を全うしようとする軍人と、決断を避けようとする政治家の対比がおもしろい。
会議室での攻防には「シン・ゴジラ」を少し思い出したりもした。
ロンドンの指令室とCOBRA会議室、ラスヴェガスのドローン操縦室、ハワイの画像解析室、ナイロビの待機基地と現地監視班、そしてなにも知らない現地の親子、加えて判断を仰がれる外遊中の閣僚たち、空間をまたいで同時進行で描かれる緊迫の演出。
軍人たちは皆成すべきことを承知している。各自が責任を果たすために権利を行使する。
政治家たちは求められた決断の重圧に抗う。
今、目の前で確実に罪のない少女を犠牲にしようとしていることへの抵抗感は、人として当然の反応だ。
将来予測される大勢の犠牲者は、現時点では確定事項ではないのだから。
だが、誰も少女の命を軽んじている訳ではない。
最後まで無事を願う観察者たちと、救おうとする現地工作員。
だが、その思いに反する少女の行動。
このサスペンスの構成は見事。
一見、人道主義的な観点からは受け入れ難い決断だが、高度な政治的・軍事的判断は、それを求められない我々には評価できないことかもしれない。
最後、女性事務次官に「恥ずべき作戦」と避難された中将の言葉は重い。
「決して軍人に言ってはならない。彼らが戦争の代償を知らないなどと。」
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