「誰でもないが、誰にでもなれる頃」エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に 素人のごたくさんの映画レビュー(感想・評価)
誰でもないが、誰にでもなれる頃
霧島、部活やめるってよ。
とか
何者
とか
エレファント
みたいなちょっと湿度の高い青春とは違うし
リッジモンド・ハイみたいなちょいカラッとして笑える青春群像劇とも違うような…
この映画に出てくるキャラは誰も成長も反省もしない。だって入学前たった4日間の話しだから。とにかく、男子大学生が気持ち良いくらい我がままに毎日を楽しんでいる、ただそれだけ。
それでも、観てる人の大半が「自分のあの頃」を思い出してなんとなく甘酸っぱい気持ちになれただろうと思う。
あのニセ編入生の彼が良い話しを良い場面でしてくれる、言わばテラーだったように思う。
二度と戻らない時間で、過ぎ去ってからそこへ戻ることは絶対にできないし許されないってことを身をもって教えてくれる。
が、今を生きるヤツらにとっては全くもって響いていないっていう…笑笑
そこらへんも変にしんみりしたり俺はこれを教訓に日々頑張る!みたいな流れにならなくて本当に嬉しいです!
あと、特筆すべきは出てくる奴らが全員柔軟な思考であること。人種、宗教などはおろか、ジョックス、ゴス、パンクス、カントリーなどいろんな奴とすぐに打ち解け、馴染んでしまう。
内向きでいろんなところに当り散らしてる今のアメリカや日本、イスラム国とか…ステレオタイプとは無縁の超良いヤツらだけしか出てこない。
ほとんどディスコソングしか聴かない輩なのにパンクスのライブに行くくだりが最高。
行く決意をする相談シーンもいいけど
あ!この曲アレのカバーじゃないか?
知ってる!→テンション上がる→好きになる
みたいな。笑笑!爆笑だった。
それと、時代設定が1980年だったってところに意図を感じた。
それこそ、デュランデュランやマドンナが台頭するいわゆるthe'80sという時代でもなく、ディスコやらソウル、ロックが少しずつ輝きを失いつつあり、ベトナム後、疲弊しているが中東問題に首を突っ込みつつある時代。
まさにアメリカもまだ何者でもない狭間に居た時代だから、今回の題材にマッチしてたのかな?って解釈してる。
誰にもチャンスはあるし、毎日を楽しむ資格がある。けれど、時間は決して戻らない。
終始カラッとしてて、暖かく、愛情タップリに撮ってる印象だった。他のリンクレイター作品も観てみようと思った。