「あの頃が甘酸っぱく蘇ります」エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)
あの頃が甘酸っぱく蘇ります
リチャード・リンクレイター監督の最新作は、1980年代に大学生活を送った私には後悔と共に懐かしさが込み上げてくる。
少年と家族の12年間を描いた「6才のボクが、大人になるまで。」や、高校生活をコメディタッチで描いた「バッド・チューニング」、この2作とは直接的な繋がりはないけれど、本作はこれらの魂を受け継いだ続編だと思う。
映画は、野球推薦で大学に入学した主人公ジェイクが、新学期が始まる直前の3日間を野球部のチームメイトたちと、ナンパ、パーティ、お酒やドラッグでバカ騒ぎして過ごす様を青春のワクワク感や煌めきと共に描いていく。
そしてこの青春群像劇は、リンクレイター監督らしく、センスある当時のロック、パンク、ディスコ、ニューウェーブ、ヒップホップ等の名曲の数々で彩られている。
更には当時のファッションをはじめとした文化や風俗、特に日本でも当時流行ったものまで登場して、一気にあの頃が蘇る。
本作は、私たちのような年代には甘酸っぱさと共にノスタルジーを覚えるが、若い人たちには映画に出てくる金言のような台詞の数々、「死ぬ時に後悔するのは、やったことじゃない。やり残したことさ。」、「今を楽しめ。長くは続かないんだ」とか、「素敵じゃない?何かに情熱を注げるってこと」等は、今後の人生に示唆を与えてくれると思う。
傍から見れば、彼らの乱痴気騒ぎは若いなあ、バカだなあと思えるが、味気ない大学生活を送った私には青春を謳歌する彼らが眩しく感じられます。
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