フランコフォニア ルーヴルの記憶のレビュー・感想・評価
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ボルシェビキの怨念!
ルーブル美術館はフランコフォニア."だけ"の宝。人類の宝では無い!
ロシア語でドイツは「ゲルマーニヤ」そして、フランスは「フランツィア」(フランコフォニアとはフランス語圏)
察するにそう言った事だ。
エンドロールで流れる音楽は「シェスタコ−ビッチ」の「レニングラード交響曲」
雪の中、ラドガ湖を水源とするネバ川の川面を、足を引き摺り歩く老人の背後にはエルミタージュ。ナチスドイツとフィンランドに抵抗するスラブ系ロシア人だろう。
フランスにルーブルがなかったら、ロシアにはエルミタージュがなかったも同じ。それは分かる。
しかし、ロシアにはトレチャコフやプーシキンがある。
追記
ロシアは第二次世界大戦でナチスドイツに抵抗して1200万人が亡くなっている。それがすべてボルシェビキがナチスドイツに抵抗したから起きた悲劇。しかし、幸いな事にフランコフォニアのパリは無血開城した。スラブ系元ボルシェビキのアイデンティティとナショナリズムだ。
最後にルーブル美術館の館長役の俳優の台詞
「たわごとだ。ばかげている」
歴史がすべてを語ってくれる。
スターリンをスラブ系ロシア人と思っているだろうが、スラブ系とは異なる民族だと理解すると分かりやすい。また、レーニン、マルクス、エンゲルス、そして、トロッキー全てスラブ系ではない。
それが、ボルシェビキの始まり。
ロシア人だけで作って権力を集中させた訳では無い。
単なるドキュメンタリーと思いきや・・・
何故疎開したルーブルの名品がドイツ軍から免れたのかボンヤリとうまく隠しおおせたのはレジスタンスの反撃のおかげかなぁ~くらいに思っていたが全く違う極めて高いインテリジェンスの交流があったというお話。異なる民族がその異なった民族を支配する上で、そのルーツとなるべき被支配国の文化に対する敬意をどう表すか・・・この問題を二人の人物のみの関係で、しかもお互い最後まで胸襟を分かつことが無かったにもかかわらず、人類最大の遺産が究極の愚か者たちの手から免れた事実は単純に感動する史実だ。
心して見るべし
作家が見ている人のために丁寧に分かりやすく仕上げているわけではなく、むしろ見ている側が作家の意図や思考を懸命に考え、寄り添っていって、映画に合わせていかなければならないわけで、漫然と見ていただけでは恐らく寝る。
自分も必死にソクーロフの意志を捉えようと頑張ったが、半分も分かったかどうか全く自信がない。まるで知識人に自分のような凡人が何かを試されて、門前払いにあったような気持ちになってしまった。
とはいえ、戦争と美術館の性みたいなものは強く感じた。ルーヴル美術館をテーマに斬新なアプローチが展開され、決して誰にも想像できない視点を提示しているわけで、凄い映画だと認めざるを得ない。飾られているアートの多くは、戦争が生み出したものという皮肉…美術館というハコが抱えている宿命を見た。それは決して芸術作品が悪いのではなく、それを取り巻く諍いが問題なのだけれど─。
三つの時間軸を行ったり来たりするアイデアは面白いと思ったし、それを交差させながら一つにまとめ上げる力には驚愕するのみ。ただ、如何せん独りよがりなものを感じるし、ソクーロフの心を読み切らなければこの作品は完全に理解できないと思ってしまう。難解という言葉で処理したくはないけど、これを読み解くには知識というものを超越したものがある。
歴史と記憶の迷宮に酔う
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