フランコフォニア ルーヴルの記憶のレビュー・感想・評価
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単なるドキュメンタリーと思いきや・・・
何故疎開したルーブルの名品がドイツ軍から免れたのかボンヤリとうまく隠しおおせたのはレジスタンスの反撃のおかげかなぁ~くらいに思っていたが全く違う極めて高いインテリジェンスの交流があったというお話。異なる民族がその異なった民族を支配する上で、そのルーツとなるべき被支配国の文化に対する敬意をどう表すか・・・この問題を二人の人物のみの関係で、しかもお互い最後まで胸襟を分かつことが無かったにもかかわらず、人類最大の遺産が究極の愚か者たちの手から免れた事実は単純に感動する史実だ。
心して見るべし
作家が見ている人のために丁寧に分かりやすく仕上げているわけではなく、むしろ見ている側が作家の意図や思考を懸命に考え、寄り添っていって、映画に合わせていかなければならないわけで、漫然と見ていただけでは恐らく寝る。
自分も必死にソクーロフの意志を捉えようと頑張ったが、半分も分かったかどうか全く自信がない。まるで知識人に自分のような凡人が何かを試されて、門前払いにあったような気持ちになってしまった。
とはいえ、戦争と美術館の性みたいなものは強く感じた。ルーヴル美術館をテーマに斬新なアプローチが展開され、決して誰にも想像できない視点を提示しているわけで、凄い映画だと認めざるを得ない。飾られているアートの多くは、戦争が生み出したものという皮肉…美術館というハコが抱えている宿命を見た。それは決して芸術作品が悪いのではなく、それを取り巻く諍いが問題なのだけれど─。
三つの時間軸を行ったり来たりするアイデアは面白いと思ったし、それを交差させながら一つにまとめ上げる力には驚愕するのみ。ただ、如何せん独りよがりなものを感じるし、ソクーロフの心を読み切らなければこの作品は完全に理解できないと思ってしまう。難解という言葉で処理したくはないけど、これを読み解くには知識というものを超越したものがある。
歴史と記憶の迷宮に酔う
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