「畑こそ宝」ブルゴーニュで会いましょう フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
畑こそ宝
家出息子と枯れた父親がワイン作る話
良くある知識だけの若者と実践ばかりの老人のぶつかり合いながら協力し、成功を手にする話に思えたが一味違った作品だった。
何十年もワイン作りをしてきたものの情熱の冷めた父と野良作業が嫌で都会に行った息子、そんな二人が先祖伝来の畑を守るため、嫌々ながら協力する。
他の作品と一味違うのは、尽く父親の助言や行動は否定、拒否されてしまう展開だろう。
一年以内に借金を返さねばならず、一か八かのワイン作りを目指す主人公には父の今までの知識、技術が全くもって不要なのだ。
何度も否定される父の姿を見ていると、自分で蒔いた種ではあるもののかなり可哀そうになってくる。
最終的には家族の絆が深まるいい話だとおもったし感動もあるが、都合が良すぎたり、あまり挫折も無く話がすすむので、父親の目線で映画を見てしまうと、全然感動でき無いかもしれない。
この作品での父親像はあまりいい描かれ方をしていないように思える。ただ従来の作品よりも、利害関係だけではない親子の絆による家族の再生をより際立たせていたように思えた。
ワイン畑のロミオとジュリエットな展開も劇中含まれていて話を盛り込み過ぎ感は否めないが、全編美しいブルゴーニュの風景とお洒落な雰囲気で心地いい作品だった。
劇中セリフより
「何が正しかったなんて、誰にも解からない」
答えは無数にあって、正解も間違いも無い
やらずに後悔するよりやって後悔した方がいいとはよく言ったもの。でも後悔が全て悪いとは思えない、次に生かせるのなら必要だったかも知れないのだから。
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