「筋書きはベタだが得るものはもっと大きい。」ブルゴーニュで会いましょう バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
筋書きはベタだが得るものはもっと大きい。
実家のワイナリーを飛び出してワイン評論家として成功した主人公が、倒産の危機に瀕したワイナリーを救おうとワイン造りに挑戦する。田舎で自分を見つめ直し、反りの合わなかった頑固な父親との距離を縮めていく展開は、おそらく誰もが予想するし、あっけないほど定石通りに進んでいく。
この語り口を、安心して観られると取るか物足りないと取るかは観る人によって違うだろう。演出も90年代のハリウッド映画を想起するようなベタなものだが、不思議なほど嫌な感じを受けなかったのは、ラクに観られるからというより、筋書きは潔くシンプルにして、ワインを生み出す土壌そのものに親しみ、畏敬し、愛でることが意図なのだと思えたから。
お話しを盛り上げるためにわざわざ凸凹と起伏を作ることはない。人間が右往左往するよりも大地は大きい存在である、と、そんな感覚を味わえてなんとはなしにいい気分になった。
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