ブルゴーニュで会いましょうのレビュー・感想・評価
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筋書きはベタだが得るものはもっと大きい。
実家のワイナリーを飛び出してワイン評論家として成功した主人公が、倒産の危機に瀕したワイナリーを救おうとワイン造りに挑戦する。田舎で自分を見つめ直し、反りの合わなかった頑固な父親との距離を縮めていく展開は、おそらく誰もが予想するし、あっけないほど定石通りに進んでいく。
この語り口を、安心して観られると取るか物足りないと取るかは観る人によって違うだろう。演出も90年代のハリウッド映画を想起するようなベタなものだが、不思議なほど嫌な感じを受けなかったのは、ラクに観られるからというより、筋書きは潔くシンプルにして、ワインを生み出す土壌そのものに親しみ、畏敬し、愛でることが意図なのだと思えたから。
お話しを盛り上げるためにわざわざ凸凹と起伏を作ることはない。人間が右往左往するよりも大地は大きい存在である、と、そんな感覚を味わえてなんとはなしにいい気分になった。
【ブルゴーニュワイン農家の世代間での醸造法の考え方の違いを乗り越え、求めるワインを作る様と家族の再生を描いた粋な作品。】
■頑固な父フランソワ(ジェラール・ランヴァン)と反りが合わず、ワイン農家を継がずにワイン評論家として名を上げたシャルリ。
だが、ある日実家が経営危機になっていると聞き、駆け付けるが頑固な父と醸造法に関して意見が対立する。
父は、息子にワインづくりを任せて、海岸沿いで隠居生活を始めようとする。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・面白かったのは、シャルリが昔ながらのワイン醸造法に拘っている所である。普通は逆な気がするのだが、彼は足で葡萄を潰し発酵させ、添加剤も入れない醸造法を選ぶのである。
きっと、彼には経験はなくとも、ワイン評論家としての舌の確かさがあったのだろう。
・臨家のコレマタ頑固な、けれども一流の腕を持つブランシュ(アリス・タグリオーニ)が、娘のアメリカ人との結婚を認めない姿も、フランソワに似ているのである。
・だが、シャルリは見事にブランシュを唸らせるワインを作り上げる。そして、そのワインを実はフランソワが、孫に密かに継がせて飲むシーンと、その後息子と海辺で和解するシーンは良かったな。
<ブランシュの娘と、シャルリが恋仲になったという事は、このワイン農家は安泰じゃないかなと思った、粋な作品である。
それにしても、ジェラール・ランヴァンは、良い顔をしているなあ。
というか、天気を相手にモノ作りをする人達って、皆、良い顔をしていると思っているのは、私だけかな。
今晩は、ロアルドダールの名短編”味”か、開高健の”ロマネ・コンティ・一九三五年”を読もうかな。>
サイゼ呑みしたくなる
とても良いお話だし映像もとても澄んでいて良いのだが…
ワイン作りを通して様々な「愛」を描いているとても良いお話。映像的にも全体的に澄み通っていて、特に風景描写は観とれるほど美しい。
でも、細部を掘り下げるとどうだろうか。先記の通り当然良いお話だとは思うのだが、ストーリーがありきたりというか、少々出来過ぎで鼻につくというか…個人的には感動の押し売りって感じがしてしまい、あまり素直に受け入れられなかった。
そして、父親の「俺の畑は絶対に手放さない」からの舌の根も乾かぬうちの「畑への興味が失せた」はあまりにもあべこべだし、息子の無意味なほどの手の早さや、再建をかけた必死のワイン作りの最中に不貞!?な恋愛を無理やり入れ込んでくるあたりは不謹慎にすら感じてしまう。「リコリスを感じたら」って…どのくらいの秘技かは知らないが、とても大切であろう収穫の時期も今まではアバウトだったの!?
この流れではガンジーのありがたいお言葉も上滑りしてしまうでしょ。
良いお話なのに疑問を呈している自分に嫌悪感を覚えつつも、やはり素直に感動できなかったのが正直なところかな。
愛だな
リアリティが沁みる
ストーリーも普通で特にお目当ての俳優さんもいないけどとても好きな作品でDVDを購入。主人公は都会で仕事に成功し、実家のワイナリーの隣の娘を好きになるが、彼女にはアメリカ人の婚約者がいる。お互いに理想の人生を手にしたつもりでいたが、ワイナリーを守り受け継いでいくという選択に自然に導かれ、最高のパートナーに気づく経緯にリアリティがあって、結末に観ているほうも安堵と幸せを覚える。歴史ある土地や、先祖から流れる血の力のようなものを感じ感動した。
ワインを伝える
大事なのは、他のマネをしないこと。あとは忍耐と辛抱よ
映画「ブルゴーニュで会いましょう」(ジェローム・ル・メール監督)から。
ワイン評論家としてパリで活躍し、有名になっていた主人公が、
実家の老舗ワイナリー倒産の危機で自らがワイン作りをすることになる。
それはある意味、大きな賭けとも言える。
ワインの味がわかるから、ワイン作りができるとは限らない。
だけど面白いのは、素人だからこその発想が、可能性を拡げていくこと。
経験がモノを言う(はず)の世界で、新しいワイン作りの試行錯誤が、
周りの人をまきこみながら、展開される。
自然災害からブドウを守るために、畑にシートを被せるシーン。
誰もが想像もしなかった行動で周辺の関係者を驚かせながら、
結局は、何も知らない浅知恵で失敗に終わるが、主人公はへこたれない。
心配して近づく女性に「ガンジーの言葉を(知ってる)?」と彼は訊ね、
「いくつかは・・」と答えた彼女に、この言葉を紹介する。
「最初は無視、次に笑われ、最後はマネされる」
新しいことに取り組もうとする人にとって、とても大切な教え。
そしてまた、これこそもう一つ、この作品に流れる考え方だと感じた。
いつの世も、どの分野でも同じことが繰り返される。
隣のワイン畑で40年間最高のワインを作り続けている女主人の言葉は
さらに成功する秘訣をこう付け足している。
「大事なのは、他のマネをしないこと。あとは忍耐と辛抱よ」
「最初は無視、次に笑われけれど、他のマネをせず、
忍耐と辛抱でやり続ければ、最後はマネされることになる」
だからこそ、新しいことへのチャレンジは面白いのかもなぁ。
畑こそ宝
家出息子と枯れた父親がワイン作る話
良くある知識だけの若者と実践ばかりの老人のぶつかり合いながら協力し、成功を手にする話に思えたが一味違った作品だった。
何十年もワイン作りをしてきたものの情熱の冷めた父と野良作業が嫌で都会に行った息子、そんな二人が先祖伝来の畑を守るため、嫌々ながら協力する。
他の作品と一味違うのは、尽く父親の助言や行動は否定、拒否されてしまう展開だろう。
一年以内に借金を返さねばならず、一か八かのワイン作りを目指す主人公には父の今までの知識、技術が全くもって不要なのだ。
何度も否定される父の姿を見ていると、自分で蒔いた種ではあるもののかなり可哀そうになってくる。
最終的には家族の絆が深まるいい話だとおもったし感動もあるが、都合が良すぎたり、あまり挫折も無く話がすすむので、父親の目線で映画を見てしまうと、全然感動でき無いかもしれない。
この作品での父親像はあまりいい描かれ方をしていないように思える。ただ従来の作品よりも、利害関係だけではない親子の絆による家族の再生をより際立たせていたように思えた。
ワイン畑のロミオとジュリエットな展開も劇中含まれていて話を盛り込み過ぎ感は否めないが、全編美しいブルゴーニュの風景とお洒落な雰囲気で心地いい作品だった。
劇中セリフより
「何が正しかったなんて、誰にも解からない」
答えは無数にあって、正解も間違いも無い
やらずに後悔するよりやって後悔した方がいいとはよく言ったもの。でも後悔が全て悪いとは思えない、次に生かせるのなら必要だったかも知れないのだから。
ワイン農家のお仕事
フランス版もやしもん?
美しい風景をすごく期待しちゃったので…。
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