「本当に帰ってきて良かった…のかドイツの皆さん」帰ってきたヒトラー まえじーさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に帰ってきて良かった…のかドイツの皆さん
「はっ、危ない。」
映画も後半に差し掛かったところで、私はこう思った。
"ヒトラーの言っている事に共感している自分"がいた。
恐ろしく感じると共に、現代にヒトラーがいたらどうなるのだろうかと考えさせられた。
独裁政治、強制収容所、アウシュビッツ、挙げればキリがないヒトラー。
ドイツに住んでいなくてもみんなヒトラー政権時代の事はザックリでも知っている。
残忍なヒトラーはみんな知っているのに、ドイツに住むドイツ人たちはこの映画のヒトラーを支持し始める。
知っているのに。
単なるブラックジョークなのか。時代なのか。
映画とはいえ、演じるヒトラーのまま街に繰り出し、人々にゲリラ的にインタビューを行う。
顔にぼかしが必要な人はぼかしが入ってる。
でも9割ぼかしなし。
若者を中心にヒトラーに面白おかしく近づき意見を言う。
ヒトラーは「今の政治をどう思う?」から始まりどんどん踏み込んだ話題の質問をしていく。
この物語は、作り話。でも途中にリアルな声が入るドキュメンタリータッチ。
ヒトラーを完コピしたお笑い芸人だと思うドイツ国民。
そしてヒトラーのまっすぐな意見を聞いて心が動くドイツ国民。
そして唯一無二の存在になりつつあるヒトラー。
この時に私は「はっ、危ない。」と思った。
そう思った矢先に、お婆ちゃんがヒトラーに遭遇する。
怯えきり絶望の表情で発狂するお婆ちゃん。
ここでハッとする。
「この人は、そういう事をしていた。それだけの事をしていた。」と。
私はヒトラー政権の時の事を詳しく知らない。
ヒトラー政権で起きたことはどれも許せないと思っている。
ただ、人を惹きつける何かがあったのかなとふと思った。
現代にないリーダーシップを持った人という印象を感じた。
そう思う時点で私は勉強不足すぎるとも感じる。
この映画を通じて、歴史を学ぶきっかけになると思った。
そして、風化することの恐ろしさを感じた。