「ブラピは『ゴー・マリ・サン』」劇場版 501 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラピは『ゴー・マリ・サン』
相変わらず本文とは何も関係無い題名だが・・・
アップリンクス系のハマジム主催のAV鑑賞会や、それこそ『テレクラキャノンボール』を観てきて、ドキュメンタリーの編集のおぼつかなさに一寸疑問を持っていたのだが、伊集院光がお薦めしていたので、もう一度期待してみた。
上映前にカンパニー松尾Pが挨拶していたので、それなりに応援に力が入ってるのだなぁと期待は徐々に膨らむ。
『霜月るな』というAV嬢を有名にするという所からこのドキュメンタリーが始まる。まぁAV業界の裏側を覗く感覚である。しかし、話がどんどん進むにつれ時系列が怪しくなってくる。このAV女優さんが、有名になる企画である500発顔射(その時の最多値らしい)+豚 という業界ならではのゲスい催しに、ロッキー的なペーストを絡めて、感動巨編に仕上げたい意図の、この作品の主役であるビーバップみのる監督の脳内編集炸裂な進め方なのである。
順を追って過去からスタートするほど人間の脳内は整理されていない筈。何かに関連づけて、芋弦式に記憶が引き上げられる又は引き出しが開くのだが、それをなんとか編集で表現していこうという試みはかなり難解な作品になっている。編集も実際の企画の進行も破綻を含みながら、それでも何か一つの形に仕上げたいという情熱が、七転八倒しながらも監督の念だけで転がり続ける姿は、スクリーンから迸るように、又泣き喚くように訴えてくるようである。
結局、本来の企画の方向性からレームダックを繰り返しつつ、最後は件のAV嬢役を70歳オーバーのホームレスの老婆にやらせる場面で、GO!HOME・・・ 終電に間に合わないので、途中で劇場を抜け出す。
なので、この映画のラストは不明である。どういう結末になったのかも分からない。
非常に残念ではあるが、でもこの作品にはそういう物語性というよりも、作品を通じての表現者というマトモではない連中や、それを操る会社やプロダクションの欲そのものがメッセージとなって、観客の気持ちを揺り動かしているのだろうという一種の『絵画』なのかもしれないと感じている。
AVなので、キチンとカラミもあるのだが、その全てがショッパイことになってて、人生即ちドキュメンタリーということをまざまざと見せ付ける作品となっている。