劇場公開日 2016年9月17日

「異種婚姻譚の傑作」レッドタートル ある島の物語 REXさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5異種婚姻譚の傑作

2018年9月15日
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泣ける

悲しい

涙があふれて止まらなかった。
男は亀のせいで島から出られず、人生が大きく変わったのかもしれないが、亀(女)の愛を受け入れて、生きていく。

世界中に伝わる異種婚姻譚の寓話そのままで、話はありきたりではあるけれど、シンプル故に哲学的でもあり、命の営みや幸せとはを考えずにいられない。

砂浜の蟹、嵐、打ち寄せる波、絵が美しく儚く、ずっとこの世界に浸っていたかった。

子供が島を離れ、老い、女を看取った後に男に去来する思いとは。

人間は考える生き物だから、ついこの男の人生とは、などと意味を考えたがるが、では高度な頭脳がない動植物の存在は意味がないのか、と問われればそれを人間が判断すること自体が無意味だと思う。

男も亀も命の循環の一つにしかすぎず、男はあのまま死に、朽ちていき、島の一部となる。世界の片隅で愛し合った一つの命が終わる。不思議な幸福感と切なさでじわじわ胸を浸していく。

無声だからこそ、より伝わるものがありました。

REX