「【”一心不乱に夢を追う高校生達の姿が眩しい。”敗者の美学から勝者の美学へとつなぐストーリー展開も良き青春映画の名手、三木孝浩監督作品。今作後、邦画を牽引する若手俳優多数出演作でもある。】」青空エール NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”一心不乱に夢を追う高校生達の姿が眩しい。”敗者の美学から勝者の美学へとつなぐストーリー展開も良き青春映画の名手、三木孝浩監督作品。今作後、邦画を牽引する若手俳優多数出演作でもある。】
■吹奏楽の名門・白翔高校に通うトランペット初心者の小野つばさ(土屋太鳳)。
レベルの高い練習についていけず何度も挫折しそうになる彼女は、クラスメートで野球部員のいつも笑顔の山田大介(竹内涼真)に勇気づけられていた。
夢に向かって互いに応援しあう2人は、ある“約束”を交わす。
それは、山田が甲子園に出場した時に、スタンドから小野つばさが吹奏楽で応援する事であった。
◆感想<Caution!内容に思いっきり触れています。>
・今作は、王道中の王道の青春映画である。主人公男子がエキセントリックな性格でもなく、(最近多い気がする。否定しているわけではない。)主人公女子も健気である。
・そんな二人を若き土屋太鳳さんと竹内涼真さんが、実に爽やか且つ数々の試練に会いつつも、努力して乗り越えて行く姿が、観ていて気持ち良い。
・小野つばさは、吹奏楽初心者であるために、最初はトランペットを吹いても音が出ない。肺活量が少ない事と、バディングが上手くないからである。
ー 吹奏楽部を厳しく指導する杉村容子を演じた上野樹里さんの硬軟使い分けた演技が光る。
つばさに風船を渡して、”それを膨らますことが出来たら、もう一度来なさい。”と言う姿。そして、つばさは腹筋を鍛え、風呂の中ではマウスピースでバディングの練習を只管に行う。-
・山田大介も、怪我をした先輩キャッチャー(山田裕貴)の代わりに、決勝戦に出場するが、肩を打撲し致命的な暴投をし、ゲームセット・・。
■今作では、1年だった小野つばさと山田大介の所謂敗者の美学がしっかりと描かれている事が後半の感動を大きくしている。
又、腱鞘炎で大会に出れなくなった先輩(志田未来)の無念さや3年になった小野つばさへの後輩(ナント!若き松本穂香)達の突き上げなどもキチンと描かれており、作品に厚みを持たせているのである。
・3年になりキャプテンになった山田大介は、足首を怪我をし、小野つばさもメンバーに選ばれるかどうか微妙であるところを差し込んでいるのも、ハラハラして良い。
・そういった、苦難、試練を克服した二人が魅せる、山田大介の途中出場ながら逆転ホームランをかっ飛ばすシーンや、彼をスタンドから吹奏楽で応援する小野つばさの姿。彼女にソロを任せるのは且つて一年の時に一人だけメンバーに選ばれ小野に対してキツイ言葉を投げていた、今や主将の水島(葉山奨之)である。
ー 水島が小野の姿を見て言った言葉。”何で、あんなに頑張れるのだろう。”ー
・そして、吹奏楽部も見事に金を受賞する。小野つばさも今や堂々たるメンバーである。
■小野つばさと、山田大介が高校のトロフィーが多数飾ってあるところで交わした会話。そして、山田が言った言葉。彼は3年間、彼女の事を想い、彼女の告白を”今は野球に集中したい。”と断った理由が明らかになるシーンである。
<今作は、正に王道中の王道の外連味なき青春恋愛映画である。
鑑賞後の気分は勿論爽快である。流石、青春映画の名手、三木孝浩監督である。>