「変な映画」ヘイトフル・エイト SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
変な映画
正直、なんで?と思う展開。
雪山の密室ミステリーもの、みたいな宣伝の仕方してたけど、全然違う。
中途半端に犯人当て推理もどきみたいな感じになってたけど、論理的に犯人が導けるような話ではないので、なんか探偵もののパロディみたい。
たぶんこれは、人がぶっ殺されまくって、人が派手に殺されるたびに手を叩いて笑いながら見るタイプの映画なんじゃないかなー。
当然、そういうのは日本人には向かない。
殺しのディテールで笑いどころが随所にある。毒がなかなかまわらなくて、女がそわそわしてるとこは面白かった。
テーマとして差別、というのがありそう。
南北戦争直後の時代を描いていて、当然だ黒人差別もあるのだけど、その黒人もメキシコ人を差別してたりする。
だけど差別を悪いものとして描いているというよりは、それが当然で、誰もが受け入れていて、良いも悪いもない、という世界観。
殺しを楽しんでいるようにすら見える。
首吊りというのは、日本では死刑の一般的な方法だけど、アメリカでは、原始的で残虐な殺し方。というイメージであることがわかった。
シーンがいちいちゆっくりたっぷりしてるのは、最近の映画がテンポ良すぎることのアンチテーゼなんだろうか。
確かに重厚感あって雰囲気たっぷりだったけど、はじめの方は観るの辛かった。
リンカーンの手紙と、雪山で全裸にしてフェラさせた話は、どちらも真相が本当か嘘か分からないようにしてるのは、うまいと思った。つまりこれは、映画を観る人が、黒人を良いもんと見るか、悪いもんと見るかで解釈が変わるように、わざと真相がわからないようにしている。
もし、これがちゃんとした密室ミステリーとして成立してる映画だったら、たぶんもっと面白いと感じただろうと思う。
その場合は、新保安官か、黒人の正体が実は違う、というオチが良さそう。