「【正義感と出世欲あれどコネ無き”小悪達”と韓国政治を牛耳る”極悪達”との騙し合い、駆け引きを絶妙に描いた作品。このような映画を公開できる韓国の映画界の反権力の姿勢は実に潔いと思った作品でもある。】」インサイダーズ 内部者たち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【正義感と出世欲あれどコネ無き”小悪達”と韓国政治を牛耳る”極悪達”との騙し合い、駆け引きを絶妙に描いた作品。このような映画を公開できる韓国の映画界の反権力の姿勢は実に潔いと思った作品でもある。】
ー イ・ビョンホン主演作に外れなしの法則が見事過ぎるくらいに嵌った作品。
又、コネと学歴が無いゆえに、優秀ながらも出世の道を閉ざされた元刑事の検事チョ・スンウ演じるウ・ジャンフンの翻弄されつつも、イ・ビョンホン演じるヤクザ、アン・サングと共闘して行く姿は実に痺れる作品である。-
■財閥や政界の癒着を取り仕切る新聞社編集主幹イ・ガンヒ(ペク・ユンシク)のもと、彼に代わって悪事に手を染めるヤクザのアン・サング(イ・ビョンホン)。
だが、その時期大統領候補チャン・ピル(イ・ギョンヨン)へのミレ自動車からの裏金を証明するファイルを手にしたために彼はサングに裏切られ、片腕も切断される。
復讐に燃える彼に、ひとりのコネ無しだが優秀で出世欲溢れる検事チョ・スンウが近づく。
◆感想<Caution! 内容に思いっきり触れてます。>
・冒頭、イキナリイ・ビョンホン演じるアン・サングが巨悪を告発するシーン。
ー こういう場での正装したイ・ビョンホンの存在感が凄い。そして、彼は多くの報道陣の前で、切断された手に装着している義手を見せるのである。わざわざ、外して。
掴みはバッチリである。-
・そして、過去のアン・サングが兄貴と慕うジャーナリストでありチャン・ピルとの繋がりがあるイ・ガンヒとの関係性が描かれる。
ー そこで描かれる大統領候補チャン・ピルや新聞社編集主幹イ・ガンヒの酒と女を愉しむ姿。この作品では常に(当時の)韓国の権力構造がこれでもかと言う位描かれるのである。
2016年の公開作なので、何とも言えないが韓国って(もしかしたら日本も)大統領に権力が集中する政治構成何だよね。
ご存じの通り2016年当時の韓国大統領は朴大統領であり、今では獄に繋がれている。
そもそも、韓国の大統領で暗殺、自死、逮捕されていない人の方が少ないのである。
それ故に今作中、頻繁に検事チョ・スンウが口にする、”賄賂、学歴、コネが幅を利かせる国、韓国”という言葉に対し、アン・サングが答える”そういう国で子供を育てたくはないな”と言う言葉が、韓国の庶民には響いたのではないかな。-
・アン・サングが兄貴と慕うジャーナリストでありチャン・ピルに裏切られ、右手を切断させるシーンからの、後半アン・サングがチャン・ピルの手を切断するシーン。
ー ここも、直接的には描かれない。最近、グロテスク過ぎる韓国ノワール映画を観ていたので、何故かホットする。映画はホラーでない限り、グロテスクなシーンを直接的に描く必要はないんだよな。-
・愚かしき、韓国のトップクラスで巨悪の老人たちの酒宴の姿。
・そして、コネ無く学歴が無い故に優秀ながらも出世できない検事チョ・スンウが、アン・サングに近づき、巨悪を暴こうとする姿。
ー ここも、検事チョ・スンウを決して正義感溢れる検事として敢えて描いていない点が実に巧いのである。-
<そして、全国民に拡散された”愚かしき、韓国のトップクラスで巨悪の老人たちの酒宴の姿”誰が撮ったかは観ていれば分かる。アン・サングが大切にしていた女性ウネが命を張って撮ったのである。
故に、あの拡散シーンはアン・サングの渾身の復讐のシーンなのである。(諸説あり)
このような映画を公開できる韓国の映画界の反権力の姿勢は実に潔い。(で、傑作多数あり。)
邦画で、個の様な映画で勝負しているメジャーな映画監督は、藤井道人監督のみである。(マイナーでは、大島新監督など多数いらっしやいます。)
韓国の反権力の姿勢を打ち出した映画には駄作はないのである。
勿論、イ・ビョンホン主演の作品にも、ほぼ駄作はないのである。>
思い出すとニヤけてしまうくらいの痛感さでした。
イビョンホンはどんな役でもイビョンホンですね。
藤井監督作品はもっと観たいです。潰されないで生き残って欲しい。