ラバランチュラ 全員出動!のレビュー・感想・評価
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低予算映画の金字塔
荒唐無稽は百も承知、なにせ鮫が空から襲ってくるといったとんでも映画を送り出したケーブルTV、SyfyチャンネルのTV映画、同じ穴のムジナなのです。
今回のモンスターはなんと溶岩から湧いてきた火を噴く大蜘蛛軍団、どう考えても生物学の範疇では説明できませんね。蜘蛛と馬鹿にすることなかれ、映画のモンスターの歴史でみれば突然変異した昆虫、ミュータント物はレジェンドなのです、子供たちにしてみれば身近な存在だけに怖さを増しますし、CGなんてない時代、実物をアップで撮って誤魔化せるので打って付けのスターだったのです。
この明らかな嘘っぽさを娯楽作品に仕立てるに当たって違和感を和らげるのに頭をひねったのでしょう、SFコミック映画のヒーロー役者を主人公にしてファンやプロダクションの仲間たちが立ち向かうという、虚構の中に現実っぽい虚構をさらに築くと言った手の込んだプロット、スタートレックの役者を本物と誤認する「ギャラクシー・クエスト(1999)」と似ていますが上手な手法です。
パニックものでは家族の安否、救出は謂わばお約束ですから勿論忘れていませんし、シャークトルネード、インディジョーンズ、ポリスアカデミーのパロディも入れてサービス満点、退治に貢献する異端の学者も欠かせませんが博物館で出会うと言う、展示物との相乗効果、一石二鳥を果たしています。
べたべたしていた脇役もクライマックスに向けて整理するプロットは見事です、息子のガールフレンドがただの傷ではなく噛まれたと言う思わせぶり、案の定ゾンビものやエイリアンに通じる身体変化も見事、製作陣は観客心理を知り尽くしていますね。アイアンマンもどきのヒーロー”レッドロケット”を演じたコルトン(スティーブ・グッテンバーグ)も今は落ち目、なんと巨大ゴキブリと闘うB級映画と知らずにこき使われて怒り心頭、「そんな映画に出られるか、俺にだってプライドがある」と言いつつ本作を演じているのも笑えます、コメディ仕立てですがよくあるわざとらしい道化芝居は排除して糞まじめに徹している演出も好ましい。レッドロケットの衣装が出てきてもチープすぎてまさかの伏線だったとは、やられました、まさに低予算映画の金字塔、教科書のような映画でした。
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