「タブーに踏み込んだジャーナリストに敬意」スポットライト 世紀のスクープ parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
タブーに踏み込んだジャーナリストに敬意
カトリック教会の神父らが長年に渡って、子供たちに性的虐待を行っていたという聖職者の犯罪行為について、切り込んだジャーナリストたちの活躍を描く。日本でもジャニーズでの性的虐待が、噂されていたところにBBCからの外圧があって、やっと報道が腰を上げたというところと重なっ
て、大変興味深かった。マスコミ業界も、自分たちの利害関係があって、なかなか報道できないネタも多数あるのだと理解している。ウクライナ戦争、新型コロナウイルス感染症、国際情勢、食品や添加物、農薬問題などなど。報道の自由が、どこまで保障されているのか、今の社会は大いに怪しい。
この映画のボストングローブのように、市民の立場に立って、悪事を追及できるようなマスコミがあって欲しいと思う。薄々と何かおかしいと感じながら、大量に流される情報に受け身になって、深く掘り下げないで生活していると、そこにある問題に気づけない。
この映画が描く恐ろしことは、神父たちの犯罪を隠蔽することで、被害者たちは、この後もトラウマ等に苦しみ、アル中や薬漬けになったり、自殺してしまっても、決して明らかにされないことだ。報道する側が選択しなければ、まるでその事実が存在しなかったのように闇に葬られて、そのまま社会が存続していくことだ。
大きな権威を告発するには、膨大な資料と調査、聞き取り、判例、協力者等が必要であるということが、この映画を通してよくわかった。映画を視聴しながら、このボストン・グローブの記者たちの長期にわたる取材に敬意を表したくなった。現代人が見るべき映画と確信した。
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