劇場公開日 2016年4月15日

  • 予告編を見る

「人生のよりどころと社会正義の狭間」スポットライト 世紀のスクープ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人生のよりどころと社会正義の狭間

2020年2月21日
PCから投稿

怖い

興奮

知的

派手なエピソードを期待しているとつまらないかもしれない。

性的虐待自体が、被害にあった方の心を破壊する力を持つ犯罪。
その上に、自分の魂のよりどころ=親や、自分が信仰している神に最も近い立場にある人からの行為。
 映画の後半に明かされる母の手紙が、その問題の深刻さを示していて絶句する。

カトリック教徒でない人からすると、たんなる巨大権力の闇を暴く作業であるが、
カトリック信者にとっては、自分達のよりどころに対する戦いでもある。
 身近な人々に恨まれ距離を置かれても、成し遂げるべきなのか。
 苦しむ人々を見捨てて、自分の保身・安定を選ぶべきなのか。
  難しい選択。

たかをくくっていた事件が、徐々にその全貌を現してくる様。
それに伴って、変化してくる担当記者のモチベーション。
信仰と、職業倫理の狭間で葛藤する弁護士。
被害者の想い。
 人間模様が丁寧に描かれている。

記者たちは、自分勝手な自己満足の正義を振りかざしているだけではない。
被害者の痛みに寄り添っている姿も胸を打つ。
だからこそのラスト。涙が出てきた。

(プリンセスクルーズ内劇場にて鑑賞)

とみいじょん