「分厚い調査報道」スポットライト 世紀のスクープ CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
分厚い調査報道
2002年に「グローブ紙」が連載特集で報道した、カトリック教会の司祭による多数の性的暴行事件。アメリカ国内はもちろん、世界中のカトリック教会で同様の事件が起きており、組織的に隠蔽していた事が、この報道をきっかけに明らかになり、今でも追及されている。そのグローブ紙で調査報道を担当したチームの取材過程を追ったドラマが本作である。
多少、報道に携わっている者として、丁寧で分厚い取材過程が描かれていて、とても面白かった。この事件の根深いところは、映画の中で描かれている通り、カトリック教会だけの問題ではなく、地域全体が、性的虐待行為を見逃し、隠蔽に加担していたところだ。それは、報道機関も同じである。そんな中で調査報道を行なった記者たち、そしてそれを記録に残した本作に、素直に拍手を送りたい。
組織的に、あるいはコミュニティ全体で隠蔽された人権問題を、報道が明らかにして追及する事はとて大事で、報道の重要な役割だ。その事を、改めて社会に投げかけている作品だった。
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