「うん、よかった。けど、地味…?」スポットライト 世紀のスクープ こけっコーさんの映画レビュー(感想・評価)
うん、よかった。けど、地味…?
アカデミー賞作品賞の本作品に対する期待はとても高かったことと思う。
正直、私も大変期待して観に行った。
社会派の作品である。
派手さは不要なのだろう。
膨大な資料の調査と粘り強い聞き込みに裏付けされた事実を元に、誰も手をつけなかった火中の栗を拾いに行く果敢な記者たちの根性に熱くなった。
カソリックの信者である多くのアイルランド系移民がいるボストンで、カソリック教会の組織的スキャンダルを暴くのであるから、相当の覚悟も必要だったのだろう。
なにせ「神」を裁くのだから。
記者たちの静かな闘争心に胸を震わせたのだが、最後のあっけない終わり方に肩透かしをくったというのが印象だった。
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Lynkeusさんのコメント
2016年6月8日
教会のスキャンダルを明らかにする、という行為は、このレヴューの筆者さんがおっしゃるように「神を裁く」こととは全く違うのです。
むしろ、逆です。
なぜなら、「人間とは、たとえ教会内であっても神父であっても罪を犯さずにいられないような存在でしかないのだ」ということを認め、「人間という存在そのものの罪」(原罪)に気づいて「自分もそんな人間でしかないのだ」と悔い改めることこそが、まさに、信仰の原点であるからです。
教会のスキャンダルを知ることは、組織としての教会を越えた本当の信仰に、いわば「神そのものに」立ち帰るきっかけになり得るのです。
・・・だからこそ、この映画が、キリスト教国でクリスチャンによって作られ、多くのキリスト教徒に鑑賞され、高い評価を受けているのです。