「そこまでの道のり。」スポットライト 世紀のスクープ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
そこまでの道のり。
第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞に輝いた作品。にしては
地味だなぁ~と思った人も多いだろうとは観ての感想。面白い
面白くないというよりこれは社会問題でエンターテインメント
ではないんだぞというドライな描き方が好き嫌いを分けそうだ。
キャスト全員が助演賞でも良さそうな巧みな演技。事実を公に
するということは地元読者を敵にまわすようなことになろうと、
新任編集局長としてやってきたユダヤ人のバロンはへっちゃら。
「スポットライト」というからには度肝を抜くような記事でなけ
れば、というこの局長の心意気とそれに従う4人の精鋭記者が
へこたれずに地道な取材を続けたからこそのスクープになるの
だが、この児童虐待行為は一般社会に蔓延っている問題の一つ。
カトリック教会にピンとこない日本人でも、いわゆる幼児猥褻
なんていうのがしょっちゅうニュースで報道されているので嫌
になるほど。被害者が声を上げていても隠蔽されてしまう現実。
今作でも以前に被害者側から情報提供があったにもかかわらず、
放置されていた事実が判明する。それを拾い上げる側の態勢が
整い今回のように集中取材に励める環境がなければ、地方紙に
こんな大仕事は資金面でも労力面でも難しいことだろうと思う。
レイプだのいたずらだのがここまで日常的に蔓延っている宗教
を信心していることへの怒りも伝わるが結局は禁欲そのものが
人間の満たされない欲求を妨げ別の方向へ導いている気がする。
告白した神父が「悦びはなかった」と言ったことが印象的だった。
(キートン「ザ・ペーパー」以来の嵌り役。ラファロは今回も熱血)
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