BAILE TOKYOのレビュー・感想・評価
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FC東京は”東京”のクラブだった!
「BAILE TOKYO」見ました。
僕はサッカー好きだけど、好きなのはバイエルンミュンヘンであってJリーグは全く見ません。ですが、このドキュメンタリーは見てよかったと心から思えるし、FC東京が持つ使命やアイデンティティを知れるいい機会になった。
まず序盤からズドンと来る話を石川直宏がします。「クラブの価値を1番知っているのはサポーター」的な事ですよ。サポーターのためにとか、サポーターがいるからプレー出来るんだみたいな発言はあらゆる選手があらゆるメディアで話しているけど、石川直宏のこの発言は正直驚いたと同時に、確かにそうだなと納得させられた。
あとは、FC東京というのは首都のクラブであり、世界的に見たら首都のクラブは強くなければいけないと言うのも心に響きました。そしてリーグを勝った事がないFC東京の価値は、未だ発展途上であり成長の段階にあるという事を言うわけですよ。これは作中で何度も強調される部分です。球団社長だけじゃなく選手も言ってました。FC東京が東京のクラブだというのは知ってたけど、球団に関わる全員が背負うプライドだったり、責任という部分は全く知らなかった。万年中位と言われながら、トップチームから、アカデミーから、フロントからその意識を持っている姿は好感が持てるし、何より応援したくなる。そして何より、首都のクラブだから強くなければ...に関して、広島や大阪や鹿島が相応しくないと言いたい訳では全くなくて、日本サッカー界が一丸となって世界にチャレンジしていくんだという気概を感じました。
またFC東京というチームは、メディア受けするスター選手がいないと思うんですよ。失礼かもしれないけど、これは本当の事だと思う。例えば浦和の槙野や名古屋の闘莉王とか、マリノスの中澤や中村、ガンバの遠藤や宇佐美。これは広島もそうだと思うけど、地味で職人気質な選手で構成されたチームの言葉というのは、非常に重いし、説得力があると感じました。
脇役にスポットライトを当てた中盤も感動ものでしたね。榎本達也という第2ゴールキーパーの献身には恐れ入りました。ここをクローズアップするあたり、彼がいかにFC東京の現場にとって重要な選手なのかが伝わりました。彼の発言の全てがそうであるように、サンフレッチェ戦後に出場選手一人一人に声を掛ける姿はベテランの鑑でしょう。今までは名前しか知らなかったけど、人間の素晴らしさが伝わってきました。「あいつが嫌い、あいつが出ていて自分が出れないとか、そんな事で時間を無駄にできない」なんて中々言えませんよ。感動しました。
この映画全体がFC東京の15年シーズンのハイライトな訳だけど、意外に試合結果なんかは早回しで進められている。だけど1st9節フロンターレ戦や2nd15節浦和レッズ戦のような、サッカーの魅力や怖さが詰まった試合はしっかり見せてくれる。丸1年間を2時間の作品に収めるのは大変だと思うけど、要所は見せてくれる作りは映画としてのレベルも高い。球団が全面的にバックアップしてる姿も素晴らしくて、フランクフルト遠征時の試合前のロッカーの様子が特に貴重。友好試合だからってのもあるだろうけど、試合直前の戦術確認の映像なんて滅多に見れるものではない。
総じて、傑作です。NHKとかBSでやれよと思う人もいるかもしれない。私も見る前はそう思って半笑いでした。しかしテレビでやってるスポーツドキュメンタリーとは正直言って比べものにならないくらいリアルな姿が見れます。現状95点くらいの評価です。長友がカメオ出演してくれたら100点だった!
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