火車 HELPLESSのレビュー・感想・評価
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ムム、韓国映画の骨太な作品はハズレがないぞ!
自宅名画座『韓国映画特集』の二本目。
宮部みゆきさんの原作の記憶はかなり曖昧になってからの鑑賞なので、原作への忠実度はよくわかりません。
けれど、失踪した婚約者の結末に至るまでの行動や動機についての〝ある種の必然〟はとても良く描かれていました。
宮部みゆきさんは作家として独立するまでは法律事務所に勤めていたとのプロフィールの記載もあるので、実際の債務整理事案に関わる中で、あらゆる種類のたくさんの事件・事案の勉強をされたのだと思います。それはあの『模倣犯』などを思い出してもよく分かります。まさに博覧強記。
それらのおぞましい事件ものの後に、時代物やファンタジー色の強い作品が増えましたが、どこかのインタビューで、「最近は現実の事件の方が、自分が作り出すストーリーよりも遥かに残忍なので、もうその方面の物語を私が書く必要がないかもしれない」正確ではありませんが、私の記憶ではそのようなニュアンスの発言がありました。
そういう意味で、この映画は社会的、経済的に追い込まれた人たちに対して法律では守ってもらえない悲惨な現実があることを、原作者の意図を汲む形できちんと捉えていたと思います。
謎解きミステリーとしても、丁寧に分かりやすく描かれていて、とても親切な作り方だな、と好印象の作品です。
日本の法律面では、利息制限法(ラジオなどで過払金請求のCMを聴くことが多いのも、これと関連があるのだと思います)や今年4月改正の民法で連帯保証人を取るためには、公正証書が必須となって、相応に消費者保護の体制は整いつつあるようです。
その一方で、ギャンブル法案⁉️
何考えてるんだろう、その法案を推進してる人たちは⁉️
私は素朴にそう思ってます。
主要3人、確かに日本人俳優で似てる人が浮かんできました。
谷原章介さん、中山美穂さん、陣内孝則さんとか。
落ちてゆく少女
動物病院の院長であるムンホ。原作では銀行員らしいが、こちらもまた事件の残忍性と相容れないかのような、無味乾燥の手術シーンなんかが面白い。また、借金まみれとなり、堕ちてゆく女の不幸を強調していたかのような内容だ。なぜだか原作を読んだことがないはずなのに、ストーリーが読めるというのはデジャヴなのかな・・・
1年間の同棲生活を経て婚約したという主人公。ソニョンへの愛情という点で感情移入できれば楽しめると思う。従兄弟で元刑事のキム・ジョングンに捜査を依頼したムンホ。徐々にソニョン失踪の真相が明らかにされていくのだが、彼女が借金まみれであったり、離婚歴があったり、その上子供も産んでいたことがわかってゆくのだ。その都度、忘れてしまえばいいのにと友人の忠告も耳に入らず、ますます愛おしく感じていく様子が痛々しい。病院の女の子も結構可愛いいのに・・・
イ・ソンギュンは高島政弘、キム・ミニは松嶋菜々子・・・などなど、どの日本の俳優に似ているかなどと考えながら観ているとまた楽しい。
映画だけでは理解できない点もあった。直接の失踪の原因。借りていた名前ソニョンが破産宣告したことが原因だったのか、それとも・・・
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