ディーパンの闘いのレビュー・感想・評価
全36件中、1~20件目を表示
【”そして家族に成る。”今作は、戦禍のスリランカを脱出した疑似家族が、異国フランスで文化、言語のギャップに悩みながら、再びの争いを乗り越えて家族に成る、移民問題も絡めた物語である。】
■インドネシアの反政府ゲリラの元兵士の男シバダーサンは、他人のパスポートを手に入れディーパンと名乗り、赤の他人である女ヤリニと少女イラヤルとともに家族を装い、内戦が続くスリランカを逃れてフランスへ出国する。
難民審査を通った3人はパリ郊外の集合団地に住み、ディーパンは団地の管理人の職を得る。
イラヤルは、中々学校に馴染めず、ヤリニもフランス語が話せないが、団地に住む認知症の老人の世話をする職に就く。だが、老人の甥のブラヒムは、一見親切な男だが、政府の保護観察下にあるギャングだった・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作のジャック・オーディアール監督の作品は昨年「エミリア・ペレス」を観たばかりである。今作も、人間のアイデンティティを追求している作品になっている。
・ディーパン”一家”には、フランスに入国しても次々に災難が降りかかる訳であるが、その中でディーパンも、ヤリニも必死に未来を求めて生きようとするのである。
・ディーパンに対し、最初は”赤の他人”と言っていたヤリニが徐々に心を開き、彼も又宝飾売り場に足を運び、彼女の為にネックレスを探す姿・・。
・だが、ヤリニが介護する老人の甥のブラヒム達ギャングの抗争に逢い、彼女はスリランカでの悲惨な出来事を思い出し、一人、親戚のいるイギリスに行こうとするシーン。
駅に来たディーパンは、彼女を止めるのだが、その後団地に戻ったヤリニが見たベッドの上にあるパスポートと現金・・。
・そして、ディーパンはギャングたちの住処の周りに白線を引き、彼らを追い出すために最後の戦いに出るのである。負傷したブラヒムに人質に取られたヤリニを助けるために・・。
ー このシーンでの、マシンガンが炸裂する中で、ディーパンが車に乗り込み突撃していく姿は、正に反政府ゲリラの元兵士の男シバダーサンである。そして、彼はヤリニの下に駆け付けて彼女を強く抱きしめるのである。-
■ラストシーンも印象的である。
イギリスと思われる土地で、ディーパンはヤリニと二人の子と思われる幼子と、イラヤルと、ヤリニの親戚たちと穏やかに過ごしているシーンで、映画は幕を閉じるのである。
このシーンが、現実なのか、幻なのかには触れられずに・・。
<今作は戦禍のスリランカを脱出した疑似家族が、異国フランスで文化、言語のギャップに悩みながら、再びの争いを越えて家族に成る物語なのである。>
安住の土地を追われさまよう日常とは
中東、アフリカ等、本来なら守られるはずの国民が、政府や反対勢力に痛めつけられ、あげくは外国の代理戦争の犠牲になって、安住の土地を追われさまよう現代の悲劇を訴えかける映像は、暗く冷めたい目で、出口のない日常を描いていく。
スリランカの内戦で妻子を亡くした35歳の男性と、親戚のいる英国を目指す24歳の女性、それに親を亡くした9歳の少女は、国外脱出のために、家族に仕立て上げられ、フランスの安アパートに住むことになるが・・・映画はこの偽装家族を見捨てない。
しかし、難民とはいっても、日本の終戦後ほどひどい服装や、飢えに苦しむほどではなく、明日の希望がなくても、仕事があることが救いだ。そこには目に見えない支援の手が想像できる。戦争の被害を直接受けながら、脱出もできない大多数の人々の悲惨も思いやる必要があるだろう。
訪問介護の仕事にありついた女性が、周りの暴力騒ぎに何もかもいやになって家を飛び出し、英国へ行きたいと、ホームで列車を待つシーンがやるせない。
奥さん役をやる女優さんが上手い。
自由と血と暴力
タミルタイガー
うーん
スリランカ内戦って
場所は変われど臨戦態勢!!
新しい場所で手探りの状態から徐々に慣れ始め、やがては自分の力を発揮する内容は良かったです。全然寛いでおらず冷静に行動し、誰も見ていないところで歌って発散させるのは静かな熱さがありました。女性二人も、羽目を外す事なく上手くやっていて良かったです。散々寝てから観たのにかなり眠かったです。
なんだかパンクな映画
終わってみたら、なんだかパンクな映画だった。
ハッピーエンドなのだけれど、ハッピー感は少ない。
よかったねというよりも、力で勝ち取ったね、という感じ。自分としては、なんだか祝福しきれない。
お前ら、拳銃ぶっ放していっぱしのギャングを気取っているけれど、昨日まで内戦やってた人にかかったら、たった一人相手にひとたまりもないぞ、という非暴力主義者からの抗議なの? 自由は自分の力で勝ち取るものという自由主義者からの啓蒙なの? 移民にもいろいろ事情があるんだという人道主義者なの? いろいろ考えてみたが、やはり俺にはパンクにしか見えない。
見た後で上のような感想を書いた。これから、皆の評価を見に行ってきます。
見てきました。まずスリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラ (LTTE) による内戦1983-2009の悲惨さを知ることでした。政府軍が、市民や兵士の投降を認めず、タミル・イーラム解放のトラの幹部と住民を全滅させてた地域すらある、ということを知ると、内戦で家族すら守れなかった主人公のフランスでの戦い、という図式がわかる。
以上です。最後はイギリスに行ってたのね。なんでみんなわかるの?
団地
異国でのサバイバル
移民社会のジェンダー
内戦のスリランカを脱け出した元反政府ゲリラの男ディーパンと、女ヤリニ、少女イラヤルの三人。三人とも家族は内戦で失ってしまっている。この三人で疑似家族となり、フランスへと移住するのだ。
いきなり外国へ来て、まず苦労するのはお金と言葉の問題。しかし、まだ子供であるイラヤルが言葉の問題を一番早く乗り越える。当初は引きこもりがちだったヤリニも、仕事を通じて存在が認められるようになると、自分を取り巻く社会を理解し溶け込もうと努力する。
ディーパンはと言うと、必要にかられて仕事を懸命にするものの、周囲に溶け込むことは全く考えない。
ディーパンにとっては、スリランカにいたときと同様に、フランスでの生活もサバイバルに他ならないのだ。しかし、一緒に来たヤリニとイラヤルという女性二人にとっては、その社会で生きるということは、自分がその文化を受容し、自らもまたその社会に受容されることを意味する。
ジェンダーや年齢が、移民の社会への浸透に格差を生み出すという視点が興味深かった。
怒らせてはいけない男
静謐と爆発。
パルムドールに期待をせずに観たら、ものすごい形で裏切られた一本。
血も繋がらないディーパン一家の異国フランスでの生活を通して、男女・家族・民族・貧富等々多すぎるほどの各種の「溝」で織り成す物語。
そこには希望も明日も無く、あるのは過去とただ今を生きるための惰性の現実。
それらをすべて飲み込む最後に訪れるカタルシスの凶暴な清々しさがとにかく圧倒的で素晴しかった。
前半の淡々とした描写が無ければ、このカタルシスは生まれないし。
後半の爆発が無ければただの鬱々とした所謂「カンヌらしい」作品でしかなかっただろう。
この構成の妙はさすが監督、と言うべきなのだろうか。
万人にお勧めはしない社会問題の縮図、だが少しでも関心があるならば観て絶対損はしない作品。
全36件中、1~20件目を表示














