ディーパンの闘いのレビュー・感想・評価
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安住の土地を追われさまよう日常とは
中東、アフリカ等、本来なら守られるはずの国民が、政府や反対勢力に痛めつけられ、あげくは外国の代理戦争の犠牲になって、安住の土地を追われさまよう現代の悲劇を訴えかける映像は、暗く冷めたい目で、出口のない日常を描いていく。
スリランカの内戦で妻子を亡くした35歳の男性と、親戚のいる英国を目指す24歳の女性、それに親を亡くした9歳の少女は、国外脱出のために、家族に仕立て上げられ、フランスの安アパートに住むことになるが・・・映画はこの偽装家族を見捨てない。
しかし、難民とはいっても、日本の終戦後ほどひどい服装や、飢えに苦しむほどではなく、明日の希望がなくても、仕事があることが救いだ。そこには目に見えない支援の手が想像できる。戦争の被害を直接受けながら、脱出もできない大多数の人々の悲惨も思いやる必要があるだろう。
訪問介護の仕事にありついた女性が、周りの暴力騒ぎに何もかもいやになって家を飛び出し、英国へ行きたいと、ホームで列車を待つシーンがやるせない。
奥さん役をやる女優さんが上手い。
自由と血と暴力
個人評価:4.0
スリランカでの内戦。自由を手にするには暴力による戦いしかない。その戦いから逃れたはずのフランスの地でも、やはり自由を勝ち取るには暴力が必要だと突きつけられる。
フランス革命により自由を手にしたフランスの民衆。やはり自由を手にするには、血を流す事が必要であると、物語を通して訴えかけられる。
平和な日本では感じる事ができない、自由と暴力の関係である。そこにジャック・オーディアールのテーマを感じさせられる。
タミルタイガー
2021年9月5日
映画 #ディーパンの闘い (2015年フランス映画)鑑賞
内戦のスリランカで反政府活動をし、妻子を殺された男が、見知らぬ女と子どもと偽装家族となり、フランスに政治難民で亡命してから・・・
クライマックスのシーンでは、#レオン を思い出した。何となく
なんでだろう?
うーん
中東の難民問題が溢れ出しているヨーロッパが舞台なので、スリランカ難民の話でもすんなり入っていけました。だけど物語自体がありきたり過ぎたので、途中で飽きてしまいました。題材は良いのにパルムドールにしては描写が単純だったので、私としてはイマイチでした。
スリランカ内戦って
以前にミニシアターの予告編で「面白そう」と思っていたので、アマゾンプライムで観た。スリランカ内戦の事実さえも知らなかったので、史実としては面白いし、その抑圧で苦悩しているスリランカ人の痛いほど分かったが、それを無理やりのファミリーストーリーにしているには違和感があった・
場所は変われど臨戦態勢!!
新しい場所で手探りの状態から徐々に慣れ始め、やがては自分の力を発揮する内容は良かったです。全然寛いでおらず冷静に行動し、誰も見ていないところで歌って発散させるのは静かな熱さがありました。女性二人も、羽目を外す事なく上手くやっていて良かったです。散々寝てから観たのにかなり眠かったです。
なんだかパンクな映画
終わってみたら、なんだかパンクな映画だった。
ハッピーエンドなのだけれど、ハッピー感は少ない。
よかったねというよりも、力で勝ち取ったね、という感じ。自分としては、なんだか祝福しきれない。
お前ら、拳銃ぶっ放していっぱしのギャングを気取っているけれど、昨日まで内戦やってた人にかかったら、たった一人相手にひとたまりもないぞ、という非暴力主義者からの抗議なの? 自由は自分の力で勝ち取るものという自由主義者からの啓蒙なの? 移民にもいろいろ事情があるんだという人道主義者なの? いろいろ考えてみたが、やはり俺にはパンクにしか見えない。
見た後で上のような感想を書いた。これから、皆の評価を見に行ってきます。
見てきました。まずスリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラ (LTTE) による内戦1983-2009の悲惨さを知ることでした。政府軍が、市民や兵士の投降を認めず、タミル・イーラム解放のトラの幹部と住民を全滅させてた地域すらある、ということを知ると、内戦で家族すら守れなかった主人公のフランスでの戦い、という図式がわかる。
以上です。最後はイギリスに行ってたのね。なんでみんなわかるの?
愛って大切だ。 内戦の傷跡、移民問題、薬物… 僕には良く分からなか...
愛って大切だ。
内戦の傷跡、移民問題、薬物…
僕には良く分からなかったけど、
現代社会の課題が積み込まれた、
深い作品だったと思います。
団地
パリ郊外なのか、フランスの地方都市なのか。スリランカから亡命?してきて、プロジェクトの管理人になる。プロジェクトには、不良がいて。フランスの団地ものとして、思い浮かぶのは、カソヴィッツの憎しみだけれど、そこまでじゃないけど、多少のヒップホップ感がある。部屋の窓を開いて、スピーカー外に向けて擦り始める奴とかは出てこないけど。社会派という感じはしなくって、ある種の団地ユートピアを描いていたりする。ヒップホップが洩れ聞きこえ、プッシャー達がしきる団地でカレー野郎が大暴れ。なぜこれがパルムドールだったのかはよく分からず。音楽はニコラスジャール?らしい。
異国でのサバイバル
内戦を逃れた元兵士と偽装家族が、仕事、学校で何とか溶け込んで行こうとするが、周りのチンピラになぜか関わってしまう。
後半はすごいバトル、まさに闘い。
でも、前半の言葉がわからない中でもがくように仕事をしているディーパンに、日本のたくさんのお父さん?が重なる。
移民社会のジェンダー
内戦のスリランカを脱け出した元反政府ゲリラの男ディーパンと、女ヤリニ、少女イラヤルの三人。三人とも家族は内戦で失ってしまっている。この三人で疑似家族となり、フランスへと移住するのだ。
いきなり外国へ来て、まず苦労するのはお金と言葉の問題。しかし、まだ子供であるイラヤルが言葉の問題を一番早く乗り越える。当初は引きこもりがちだったヤリニも、仕事を通じて存在が認められるようになると、自分を取り巻く社会を理解し溶け込もうと努力する。
ディーパンはと言うと、必要にかられて仕事を懸命にするものの、周囲に溶け込むことは全く考えない。
ディーパンにとっては、スリランカにいたときと同様に、フランスでの生活もサバイバルに他ならないのだ。しかし、一緒に来たヤリニとイラヤルという女性二人にとっては、その社会で生きるということは、自分がその文化を受容し、自らもまたその社会に受容されることを意味する。
ジェンダーや年齢が、移民の社会への浸透に格差を生み出すという視点が興味深かった。
怒らせてはいけない男
あんなフランスのチンピラ風情はディーパンにとって余裕綽々、眼中には無い。
最強に無敵でチンピラ共を殺しまくる。
フランスでの生活に必死で溶け込もうとする三人に応援の眼差しで鑑賞。
暗く重いテーマと思いきやホノボノとしかし酷い目に合わないでと手に汗握りドキドキ。
ラストはハッピーエンドで良いのだが救いようの無い終わり方を期待している捻くれた自分。
慣れない学校生活などを乗り切るアノ娘が一番たくましく感じられる。
ディーパンが想像でのハッピーエンドだったのかもしれないオチも考えられて怖くなる!?
静謐と爆発。
パルムドールに期待をせずに観たら、ものすごい形で裏切られた一本。
血も繋がらないディーパン一家の異国フランスでの生活を通して、男女・家族・民族・貧富等々多すぎるほどの各種の「溝」で織り成す物語。
そこには希望も明日も無く、あるのは過去とただ今を生きるための惰性の現実。
それらをすべて飲み込む最後に訪れるカタルシスの凶暴な清々しさがとにかく圧倒的で素晴しかった。
前半の淡々とした描写が無ければ、このカタルシスは生まれないし。
後半の爆発が無ければただの鬱々とした所謂「カンヌらしい」作品でしかなかっただろう。
この構成の妙はさすが監督、と言うべきなのだろうか。
万人にお勧めはしない社会問題の縮図、だが少しでも関心があるならば観て絶対損はしない作品。
なかなか味わい深い
スリランカとフランスという、日本ではあまり馴染みのない取り合わせ。
平和で平凡な日常を「闘いとる」ことの大変さ。実は、この日本でも同じ思いをしている人達がいるに違いないと思う。異邦人〜どこの出身かを問わず〜に、こういう思いをさせてはいけない。
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