「移民社会のジェンダー」ディーパンの闘い よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
移民社会のジェンダー
内戦のスリランカを脱け出した元反政府ゲリラの男ディーパンと、女ヤリニ、少女イラヤルの三人。三人とも家族は内戦で失ってしまっている。この三人で疑似家族となり、フランスへと移住するのだ。
いきなり外国へ来て、まず苦労するのはお金と言葉の問題。しかし、まだ子供であるイラヤルが言葉の問題を一番早く乗り越える。当初は引きこもりがちだったヤリニも、仕事を通じて存在が認められるようになると、自分を取り巻く社会を理解し溶け込もうと努力する。
ディーパンはと言うと、必要にかられて仕事を懸命にするものの、周囲に溶け込むことは全く考えない。
ディーパンにとっては、スリランカにいたときと同様に、フランスでの生活もサバイバルに他ならないのだ。しかし、一緒に来たヤリニとイラヤルという女性二人にとっては、その社会で生きるということは、自分がその文化を受容し、自らもまたその社会に受容されることを意味する。
ジェンダーや年齢が、移民の社会への浸透に格差を生み出すという視点が興味深かった。
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