「衝撃と妖艶と美徳の融合」ディーパンの闘い SHさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃と妖艶と美徳の融合
スリランカの近代事情を多少把握していないと理解できないかもしれない。一般常識的な知識でよいので、知らなければ予習必須。
そうはいっても、最近のニュースなどで移民だのテロだの抗争だのまぁテロも付け足しておくか─、そういう情勢に明るければ十分に惹きつけられるし、ニュースなど見ないという人でも展開と映像自体に見せられること必至。
あらゆる伏線に、今見ている物事を楽しむと同時に前に展開されていた事柄を思い出し、様々な思考をかき立ててくれる作品であった。
リアルな映像とともに、スローモーションと音楽での幻想的表現が差し込まれ、さらにオープニングとエンディングにおける文字と映像のコラージュ的表現が見事にはまっていて、単に面白いとかショッキングとか知的とかそういうもので片付けてしまうのがもったいないくらいに、映画としてカッコいいものであった。
コーエン兄弟やドランらが海街やキャロル、黒衣などでなはくこの作品にパルムドールを与えたことには正当の理由ありといった観。
地味だと思っていた作品だったけれども、その思いとは真逆の作品であった。
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