劇場公開日 2016年1月30日 PROMOTION

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ドリーム ホーム 99%を操る男たち : 特集

2016年1月25日更新

大切なものを守るため、あなたはどこまで「悪」になれますか?
息もつかせぬ112分! 3人の演技派が魅せる緊迫の社会派サスペンス

「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールド演じるシングル・ファーザーが、愛する家族を守るために非道な不動産業へと足を踏み入れていくサスペンス・ドラマ「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」が、1月30日に公開される。本作でゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネートを受けたマイケル・シャノン、「わたしに会うまでの1600キロ」のローラ・ダーンら豪華実力派の共演が見ものの1本だ。

かつてない格差社会を背景に、「持てる者」と「持たざる者」の生きざまを描く!
かつてない格差社会を背景に、「持てる者」と「持たざる者」の生きざまを描く!

■ゴールデングローブ賞ノミネート!
 演技派3人が作り出す圧倒的な《緊迫感》を見よ!

これまで表立って語られることの少なかった現代アメリカの理不尽な現実を題材に、かけがえのない「家」を奪われてしまった青年の過酷な運命を描く「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」。彼の物語は一体どこへ向かっていくのか。貧しい者から家を奪い、その奪った家を転売して富を得ていくというドス黒い世界に、やるせない気持ちにさせられてしまうのは確実なのに、観客は最後まで目を離さずにはいられなくなる。アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ローラ・ダーンという3人の演技派陣の実力と、移民2世という視点からアメリカ社会を見つめるラミン・バーラニ監督の手腕が結実した、息もつけない緊迫感に注目だ。

ある日突然家を奪われてしまう!
ある日突然家を奪われてしまう!
若き誠実な父親を待つ運命とは?
若き誠実な父親を待つ運命とは?
不動産業界の汚い実情が明らかに
不動産業界の汚い実情が明らかに
世界的ヒット作で一躍メジャー俳優となった男が、インディペンデント作品にカムバック
世界的ヒット作で一躍メジャー俳優となった男が、インディペンデント作品にカムバック

大不況のあおりを受けて住宅ローンを滞納し、たった2分間の猶予でマイホームを明け渡さなければならない不運に見舞われるデニス・ナッシュを演じるのが、アンドリュー・ガーフィールド。「アメイジング・スパイダーマン」シリーズで一躍メジャー俳優の仲間入りとなったが、元々はゴールデングローブ賞ノミネートを受けた「ソーシャル・ネットワーク」など、繊細な演技が注目された実力派だ。本作では、愛する家族を守るために、自らを追い出した悪魔のような男の部下となり、善悪の境界で苦悩するシングル・ファーザーを熱演。悲惨な現実と向き合うなかで、人はどこまでモラルを貫けるのか? 極限まで追い詰められたとき、人は何を選択するのか?と、見る者に強く問いかけてくる。

演技力は折り紙付き! 数々の作品で圧倒的な存在感を誇ってきた
演技力は折り紙付き! 数々の作品で圧倒的な存在感を誇ってきた

ゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネートのほか、LA批評家協会賞助演男優賞受賞など、各映画賞で本作での演技が高く評価されたのがマイケル・シャノン。「アメリカは負け犬には手を差し伸べない。この欺まんの国は、勝者の勝者による勝者のための国だ」と言い切り、非道な行いで富を築いていく悪魔のような不動産王リック・カーバーを不気味に演じている。「マン・オブ・スティール」といった大作に出演しても、ただ者ではない存在感を残すのは、さすがインディペンデント作品で名を売ってきた実力者。08年のサム・メンデス監督作「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」では、アカデミー賞助演男優賞ノミネートも経験済みだ。

デビッド・リンチ監督作の常連女優が、運命に翻弄される母親役に
デビッド・リンチ監督作の常連女優が、運命に翻弄される母親役に

主人公デニスのかけがえのない母であり、デニスの息子コナーを優しく見つめる祖母でもあるリン役には、演技派としての評価が近年さらに高まっているローラ・ダーンが扮する。「ブルーベルベット」「ワイルド・アット・ハート」「インランド・エンパイア」に加え、「ツイン・ピークス」新シリーズにも名を連ねるなど、奇才デビッド・リンチ監督作の常連女優として知られるが、91年の「ランブリング・ローズ」で主演女優賞、14年の「わたしに会うまでの1600キロ」では助演女優賞と、2度のアカデミー賞ノミネートを果たしたキャリアの持ち主だ。突然家を追い出される仕打ちにパニックに陥るリンの存在は、デニス以上に観客の意識を「理不尽な現実」へと誘う。

ラミン・バーラニ監督(左)と、アメリカ郊外に立ち並ぶ住宅の風景(右)
ラミン・バーラニ監督(左)と、アメリカ郊外に立ち並ぶ住宅の風景(右)

豪華キャストに加え、ラミン・バーラニ監督にも要注目。08年の「グッバイ・ソロ」でベネチア国際映画祭・国際批評家連盟賞を受賞、続く12年の「チェイス・ザ・ドリーム」は同映画祭コンペティション部門に出品されるなど、米独立系映画界では、すでに高い評価を受けている映像作家なのだ。社会の底辺や、そこからはい上がり夢をかなえようとする人々のドラマ。物語が変わっても、彼が描き出す本質は共通しているが、そこには「移民の子」という彼の出自も大きく関わっている。イラン系アメリカ人という独自の視点が、社会システムを深く分析するのだ。今作では、「家」という夢が不平等なシステムによって侵されていく現実を背景に、庶民のリアルな感情が浮き彫りにされていく展開が壮絶だ。



■抜け出せない貧困──そして、ついにマイホームからの強制退去
 「あなた」は魂を売らざるを得なくなる、大切なもの=家族を守るために……

与えられた猶予はたったの2分間──デニスの一家は一瞬にして宿なしになってしまう
与えられた猶予はたったの2分間──デニスの一家は一瞬にして宿なしになってしまう

豊富な経験と腕を持ちながらも、アメリカ全土に吹き荒れる大不況のあおりを受けて、日雇いの仕事に就くしかない建築作業員のデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)。愛する母(ローラ・ダーン)を支える息子であり、大切な我が子を守るシングル・ファーザーでもあったデニスだが、度重なる住宅ローンの支払い滞納のために、裁判所から自宅と土地の明け渡しを命じられてしまう。「話し合いの余地はない、大人しく指示に従うか、もしくは刑務所に入るかだ」と冷たく告げる保安官。パニックに陥るデニスたちはただ従うしかなく、貴重品とわずかな家具をトラックに積み込み、近くのモーテルへと移り住む。だが、そこは彼らと同様に家を奪われた家族たちであふれていた。マイホームが差し押さえられるまでの猶予はたったの2分間! そんな現実があってもいいのか!?

家族を守ろうともがくデニス(左)に、カーバー(右)がささやく言葉とは?
家族を守ろうともがくデニス(左)に、カーバー(右)がささやく言葉とは?

「絶対に大切なあの家を取り戻す!」と、家族のために奔走するデニスだが、思うような仕事はなく、世間の閉塞感に打ちひしがれるばかり。だが、そんな彼に手を差し伸べたのは、強制執行に立ち合い、デニスたちを路頭に追いやった張本人でもある不動産ブローカー、リック・カーバー(マイケル・シャノン)だった。殺してやりたいほどの相手であるのに、今は彼にすがるしかない。デニスは複雑な感情を抑えつつ、カーバーに言われるがまま空き家の清掃やエアコン修理を必死にこなしていく。カーバーは、借金に苦しむ庶民の住宅を次々と差し押さえ、法律と制度の盲点を突いて荒稼ぎする人でなしの不動産王だった。カーバーはデニスに「俺の片腕にならないか」と、高額の報酬をチラつかせながら迫る。家族を守るためには、その誘いに乗るしかない。苦悩するデニスの姿に、見る者も、その境遇を自分と重ねずにはいられない展開だ。

うまい酒とセクシーな女たち、成功者の世界に染まっていくデニスだが……
うまい酒とセクシーな女たち、成功者の世界に染まっていくデニスだが……

背に腹は代えられない。カーバーのカリスマ性に圧倒されたデニスは、カーバーから差し押さえのノウハウを学んで実績を上げていく。巧妙に、そして卑怯に、小さな子どもを育てる一家や、身寄りのないお年寄りだろうと見境なく自宅を奪い取っていく冷酷なビジネス。デニスは大金を手にし、失ってしまった家を取り戻す代わりに、善良だった心を失い、価値観を狂わせていく。高価なスーツとアクセサリーを身に付け、カーバーと祝杯を挙げる姿は、悪魔に魂を売ってしまった男のなれの果てを思わせる。デニスは、大切な家族との絆をこのまま徐々に失ってしまうのか。大切な家族を救うために、人はどこまでモラルを踏み越えることができるのか?と、自問しないではいられない展開に、物語はさらなる試練をデニスに与える。この一線を踏み越えてしまったら、もう二度と元の場所には戻れない──デニスを待つ緊迫の展開から、目が離せない。



■「1%の富裕層が世界の富を所有し、残り99%は貧困である」
 映画ファンは、「いま注目すべきテーマ」に深く切り込んだ本作を見逃せない!

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アメリカの住宅バブル崩壊をきっかけに起こったリーマン・ショックと、それによる世界経済の大混乱。世界的不況の原因となったこの問題は、現在映画作家が注目する大きなテーマとなっている。アカデミー賞監督オリバー・ストーンが2010年に作った「ウォール・ストリート」がいち早くこの状況を題材にして見せたが、3月公開予定のクリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピット共演作「マネー・ショート 華麗なる大逆転」では、実話を基に、経済破綻を予見した金融トレーダーたちの当時の姿が描かれる。ドキュメンタリーの題材としても注目され、「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞を受賞したマイケル・ムーア監督が「キャピタリズム マネーは踊る」で、この問題の核心に肉迫。経済学者ロバート・ライシュの講義を収めた「みんなのための資本論」も、格差社会への警鐘がテーマだ。

デニスの家族たちはどうなる?
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売りに出される空き家の数々
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過酷な現実がデニスの心を蝕む
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なにが「正しい」のか? そして「間違っている」のか? 見る者のモラルを問う問題作
なにが「正しい」のか? そして「間違っている」のか? 見る者のモラルを問う問題作

「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」というタイトルにある「99%」とは、貧富の格差問題の専門家で、ノーベル賞経済学者のジョセフ・E・スティグリッツが著書「世界の99%を貧困にする経済」で提唱した「世界中の富の1/4をたった1%の最富裕層が所有しており、残りの99%は貧困である」という説が由来。本作では「家」というものを題材に、格差社会の実態が見る者にも身近な庶民の生活レベルで描かれる。不条理を生む経済システムに焦点を当てながらも、それに翻弄される人々の生々しい感情を描き出している点が特徴的。社会派のサスペンスでありつつ、感情的なヒューマン・ドラマでもあるのだ。

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