劇場公開日 2016年4月29日

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「冷静な天才、リーダーの苦労、父親の顔」ノーマ、世界を変える料理 Rinさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5冷静な天才、リーダーの苦労、父親の顔

2016年5月25日
iPhoneアプリから投稿

とかくシェフのレネ中心に、最初はうまくいかなかった、運命の出会いがあった、うまくいくようになってNo.1になった、自分は浮かれていた、どん底に突き落とされた、再出発した…とトントン拍子に話が流れていった。
あまりドキュメンタリー映画の鑑賞歴がなかったため、最初は話に入っていけなかったが、次第に要所要所で感情移入できるようになって、のめり込んでいった。
最後はうっかり泣きそうになったけど、彼らのリアルなはっちゃけぶりとレネのアザラシ野郎スピーチで笑いに代わった(^^)

「時間と場所」
今の季節が何で、ここが地球上のどこなのか
料理を考えるうえで一番の軸にしていると言っていた。
ノーマでの人生をパーフェクトストームに例えつつ、レネはもがき抗うのではなく、実に堅実に一歩一歩を歩いていた。
それは彼が、移民として差別された過去と幼少期に育った切なくも愛おしい家庭環境の両方を併せ持つことに起因しているのだろうか。
子どもと料理を作る姿は「素敵なパパ」そのもの。

彼が二つ星を獲得し、父親に電話したとき、父親は一呼吸おいて
「これで家族が養えるな」
と言ったという。
素晴らしい父親だ。
ノーマでのレネの役割も父親だとスタッフが言っていた。
前述の父親の言葉を聞けば、彼が充分冷静で堅実な父親になりうる素質をもっていることは明白だろう。
叱責され、それでもついていくスタッフがいることも納得だ。
天才は自由奔放で周りが助けている、という従来のイメージとは大きく異なるレネの冷静っぷり。
でも気分屋さんなのはスタッフが最後にバラしてましたね。笑

とかく、リーダーとしてでこぼこの道を先頭切って均している人にオススメの映画!
私はそれに含まれないけれども……

Rin