「レネのここまでの全人生を描いている」ノーマ、世界を変える料理 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
レネのここまでの全人生を描いている
英レストラン誌が選出する「世界ベストレストラン50」で何度も1位に輝いた人気レストラン「noma(ノーマ)」のオーナーシェフ、レネ・レゼピの4年間の活躍を描いたドキュメンタリー。第63回サン・セバスチャン国際映画祭キュリナリー・シネマ部門の最優秀作品賞「TOKYO GOHAN AWARD」を受賞。
映画のパンフレットを見ると、nomaがノロウイルス騒ぎを引き起こしてから、翌年復活する事が中心の作品と誤解しそうですが、そうではありません。その前からこの作品は撮られています。もちろん、ノロウイルス禍は、この作品の重要なポイントの一つではありますが、メインではありません。
この作品で描こうとしていたのは、レネそのもの。レネがマケドニア難民の子でだったとか、レネの父親がイスラム教徒であったことから、レネがここまでくるまでどのような差別や苦労をしてきたのかという事を語っているレネの表情は、何とも言えない硬い表情をしていた気がします。レネが北欧の素材に拘った料理を作り続けるのは、そう言う、差別を受けてきたこととは無関係ではないと思いますし、ノロウイルス禍がレネに与えた不安は、「これを原因で、再び虐げられたら・・」と言う一般のデンマーク人シェフとは違うものもあったのではないかと思います。逆に、そう言うこれまでの自分の受けてきた扱いをバネにして、nomaを作り上げてきたということも言えると思いますけどね。
面白いのが、「Umami」と言う言葉と、「Hondashi」と言う言葉が出てきたこと。作品中で料理人達が、自分のアイディアを料理に仕立てたシーンでの事ですが、旨味とか本だしは世界語になっているんですね?!日本人のような料理人も居たので、レネの所で修行している日本人もいるんですね。それと、エンドロールで、作品中で出てきた料理の一覧が出ていたことにも注目。文字が小さいし、数も多いので全くわかりませんでしたが(笑)。
そうそう。日本では今年(2016年)1月31日に公開になった『99分,世界美味めぐり(Foodies)』でも、nomaについて触れられていました。