「【"第二次世界大戦中の独仏のピアノ曲を愛する男女の究極のForbidden Love。"今作は、現代の多数の名優の抑制した演技に魅入られる作品であり、且つ強烈な反戦メッセージを示した作品でもある。】」フランス組曲 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"第二次世界大戦中の独仏のピアノ曲を愛する男女の究極のForbidden Love。"今作は、現代の多数の名優の抑制した演技に魅入られる作品であり、且つ強烈な反戦メッセージを示した作品でもある。】
ー 最初に記すが、私はナチスドイツが行った蛮行を当たり前であるが全否定する。それは学生時代に読んだアウシュビッツの経験をした、ヴィクトール・フランス氏の「夜と霧」を読んで、他の関係書籍も読んだからである。-
■1940年6月、ドイツがフランスを支配する。
フランス中部の田舎町ビュシーで、出征した夫ガストンの帰りを待ちながら義母アンジェリア夫人(クリスティン・スコット・トーマス)と暮らすリュシル・アンジェリエ(ミシェル・ウィリアムズ)の屋敷には、ドイツ軍中尉ブルーノ・フォン・ファルク(マティアス・スーナールツ)が滞在することになる。
ともにピアノと音楽を愛するリュシルとブルーノは、いつしか惹かれ合うが、近隣の貧しきブノワ(サム・ライリー)とマドレーヌ(ルース・ウィルソン)夫婦の家に滞在することになった、愚かしきドイツのクルト・ボネ中尉の行為が惹き起こした事で、二人の運命は変わって行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作に出演する俳優ミシェル・ウィリアムズ、クリスティン・スコット・トーマス、マティアス・スーナールツ、サム・ライリー、そして娼婦セリーヌを演じたマーゴット・ロビーの抑制した演技が素晴しい作品である。
■愛を感じる事無く、夫ガストンと結婚しつつも、満たされない日々を送っていたミシェル・ウィリアムズ演じるリュシルが、ナチスの中尉でありながら人間として品位ありピアノ曲を愛する男、マティアス・スーナールツ演じるブルーノ中尉に惹かれていく様はとても良い。
・だが、愚かしきクルト中尉を嫌々ながら受け入れたブノワ(サム・ライリー)とマドレーヌを襲った悲劇。
そして、ブノワはクルト中尉を格闘の末、撃ち殺すのである。
ー ナチスドイツの同じ中尉でありながら、理性を保つブルーノ中尉と粗野なクルト中尉の対比。-
・そして、ブノアの行為の代表として銃殺される町長夫妻。
ー それを痛恨の表情で指揮するのは、ブルーノ中尉であり、逃走したブノアを追うのもブルーノ中尉である。-
■ブノアを匿っていた、リュシルと義母アンジェリア夫人。だが、ドイツ兵の追求は激しく、二人はブノアを巴里の解放同盟に送ることにする。
そして、リュシルはブルーノ・フォン・ファルク中尉に通行証を発行して貰うのである。全てを知りつつも、通行証を出すブルーノ中尉。
だが、彼の部下が”煙草の匂いが違います。通行証に認めました。”と報告するシーンからリュシルがブノアを車のトランクに入れ巴里に送るシーン。
検問所で、銃撃戦になる中、ブルーノ・フォン・ファルク中尉が全てを見越したかのように現れるシーン。
<今作は、満たされない思いで日々過ごしていたナチスドイツに制圧されたフランスの夫人とギリギリ善性を保っていたナチスドイツ将校の【究極のForbidden Love】を描いた作品である。
ブルーノ中尉を演じたマティアス・スーナールツの痛切な表情と、リュシル・アンジェリエを演じたミシェル・ウィリアムズの姿が印象的な作品でもある。>