「難しいけど‥」灼熱 そらいろのたねさんの映画レビュー(感想・評価)
難しいけど‥
旧ユーゴの独立紛争が主題で全てはそこに尽きるのだけど、完全に社会的な映画かというと、そうではないところがこの映画を救っている。3話のオムニバスの主役になる男女は、異なる話でありながら、同じキャストが務めるという、手の込んだ仕掛けがある。さらに、これは自分も完全には読み解けなかったのだけど、3つの話は別々の話のようであり、しかし登場する家族は少しだけ連続している。ここで観るもののアタマを混乱させながらも、それぞれの話の男と女に世界に心は吸い込まれていく。ひょっとすると、監督は紛争のことより、これがやりたかったではと思わせるほどである。
他にも、海を泳ぐシーンの映像なども、主題とは関係ないところで、作り手の遊びがある。
ただ、ラストではざらついた気持ちをふっと穏やかにしてくれるシーンが用意されており、エンドロールでそっと涙を拭くことができる。
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