「ハードルは高いが観ごたえある」灼熱 kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
ハードルは高いが観ごたえある
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決して観やすい映画ではないです。
3話構成で、1話は比較的セリフも多くわかりやすいですが、2話〜3話と進むにつれ、集中力や想像力を全開にして観ないと置いていかれてしまう。油断できません。
特に第3話はテーマ的に最も強い話ですが、ストーリーよりも音楽や映像の表現が優勢なので、全身を使って映画と向かい合うことを強いられます。
この映画のわかりづらさの最大の原因は、クロアチアの歴史を踏まえた作品だからでしょう。日本に生きる我々の多くはクロアチアについてほとんど知識がないので、どうしてもハードルが高くなってしまう。
とはいえ、気合い入れて観ると、実に胸に迫る映画です。
隣人同士が戦争によって憎み合い、戦争が終わってもそれぞれ殺し合った過去があるから基本憎しみを乗り越えられない。そんな中でも乗り越えるための一筋の光を求めていこうとする物語には、人間のしんどさと素晴らしさがバチっと詰まっているように感じました。
第3話のラスト、ヒロインの家の扉が開いたまま静かにエンディングに突入するのですが、受容や寛容の象徴のように感じられ、力強かったですね。
第1話ではそれなりに活気があった村が、第2話で完璧な廃墟になってしまい、これは普通にショックでしたね。
あと第1話でイヴァンが射殺された後の、射殺した側のセルビア人たちのビビった表情が印象的。「俺たちがこれからする戦争ってやつ、ヤバいな…」って気持ちが伝わってくる。
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